都立総合工科vs成立学園
同点となるタイムリーツーベースヒットを放ち塁上でガッツポーズする手塚(都総合工科)
二度の逆転劇! 投打噛み合い、都立総合工科が成立学園に粘り勝ち
前夜から降り続いていた雨の影響で約1時間半遅れて始まった都立総合工科対成立学園。都立総合工科が二度の逆転に成功し、今年の夏の東東京王者・成立学園を5対3で下した。
試合後、都立総合工科・有馬信夫監督はホッとした表情で「谷岡君(成立学園)にうまく対応してくれたよ」と話した。
成立学園が本大会初戦の相手と決まり、甲子園でも先発したエースの谷岡竜平(2年)を打ち崩すためにバッティングに力を入れた。140キロ前後をマークする谷岡の直球に負けないよう、速球を打ち込んできた。
初回からその成果が出る。1番・板倉拓也(1年)、2番・深堀敬浩(2年)と4番の川越順哉(2年)にヒットが生まれる。得点には繋がらなかったが、積極的な打撃はチームを勇気づけた。
その後、都立総合工科は、エラー絡みで先制を許したが、4回表に四球でランナーを出すと、7番の手塚智也(2年)がレフトの頭を越す二塁打を放ち、同点に。さらに、荻山卓(2年)の犠打が相手野手のミスを誘い、逆転に成功する。
しかし、成立学園もこの夏、甲子園に出場しているチームだ。
5回裏、都立総合工科が先発の荻山から大澤瞬(2年)に交代したのをきっかけに反撃に出る。二死一塁、2番・杉山秀平(2年)から3人連続で安打で2点を奪い、試合をひっくり返した。
逆転のタイムリーを放った川越(都総合工科)
しかし都立総合工科はここから粘りをみせる。7回表、成立学園も継投策に出るが、先頭の板倉、深堀に連続安打、続く長瀬僚介(2年)に死球と無死満塁となる。
都立総合工科は、このチャンスに川越に打席が回る。その川越は変化球2球で追い込まれる。3球目、「ストレートだけを待っていた」と、直球をコンパクトに振り抜くと、打球は前進シフトを取っていたセンターの頭上を越えていった。ランナーが2人還り、再び逆転に成功した。そして続く、5番の阪本敦誌(2年)の犠牲フライでダメ押しの1点を追加した。
5回に一度、逆転を許した都立総合工科二番手の大澤であったが、それ以降はランナーを出しても、打たせて取るピッチングで成立学園打線を抑えていった。最後のバッターをライトフライに打ち取ると、飛び跳ねて喜び、キャッチャー・求拓海(2年)と抱き合った。
とくに都立総合工科バッテリーが気を使ったのは3番の岩成亮祐(1年)。
大澤は「外に投げると上手く流されるので、徹底的に内に投げました」と、インコースを徹底し過ぎて、死球を与えるほどだった。
先発の荻山と大澤で岩成に与えた安打はわずか1本。都立総合工科の左右の2本柱が成立学園打線のキーマンを抑えられたことが、勝利に繋がった。
荻山と大澤は、「自分たちが抑えたら、チームのみんなが打ってくれる」と信じている。
また、今日の都立総合工科打線は、これまで振り込んできた成果もあり、11安打。その中でも谷岡相手に7安打を放った。4番・川越を中心に思い切りの良い打線である。
「負けている時も元気でした」(川越)というように、ベンチの雰囲気も良い。次戦は13日(土)、相手は朋優学院。夏の東東京の覇者を下した勢いで、どこまで勝ち進むのか楽しみだ。
(文=編集部)