明徳義塾vs東海大甲府
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9回裏,同点アーチを放った5番・西岡(明徳義塾)
西岡の起死回生同点ソロで引き分け 抽選で明徳義塾が上位進出!
「1・2年生との紅白戦で調整はしていたが、ボールのキレとスピードはやはり違いました」。
IBAF18U世界野球選手権帰りの伊與田一起(3年)語ったように7回まで散発4安打。明徳義塾打線は「最初は試合から離れて感覚が離れて感覚がつかめなかったが、そのうち打ち取れる感覚が出てきた」東海大甲府先発・神原友(3年)の前に手も足も出なかった。
一方、先発の福丈幸が2回表に8番・神原に二死二塁から先制打を浴び、5回には無死一・三塁から追加点を失うことに。選手権ベスト4同士による「3位決定戦」の勝敗はほぼ決しようとしていた。
ただ、ここからが明徳義塾の本領発揮であった。「このまま終わったら(宿舎までの)バスに乗せへんぞ」と奮起を促した馬淵史郎監督に素早く呼応した選手たちは、8回裏二死から2番・合田悟(3年・主将)が安打と盗塁で進んだ後、伊與田が「昨夜も宿舎で健闘を誓い合った」高校日本代表の盟友から追撃の一打。
さらに9回は先頭打者の5番・西岡貴成(2年)が1ボール後の高めストレートを「これまでの中で一番いい感じ」でライトスタンドへ叩き込む大会第2号同点ソロ。その瞬間、人口23,000人あまりの大野町にある[stadium]大野レインボースタジアム[/stadium]に集った1,340人の観衆からはどよめきがこだましたのである。
結局、同点で9回を終えた試合は試合終了時の出場選手9人ずつによる抽選に委ねられることに。そして「何も考えずに引いた」伊與田が引いたくじには上位進出の印が。かくして2回戦には明徳義塾が進出することになった。
「抽選ははじめてですね。上位進出がこんな形で決まるとは…」と試合後、東海大甲府・村中秀人監督はなんともいえない表情を浮かべたが、それを引き寄せたのは正に明徳義塾の「執念」であった。
なお、勝者が明徳義塾と2回戦であたる第2試合の宇部鴻城対仙台育英戦は、試合直前に発令された暴風警報のため中止。帰りのバスを待つ間に本部席の計らいにより奏でられた校歌を歌い合うなど、機運を高めた両校は翌日第1試合で再び対戦のときを迎える。
(文=寺下友徳)