喜界vs川薩清修館
完封勝利をあげた英(喜界)
「守備からリズム」で完封・喜界
喜界は3回、3番・英碧仁(2年)のセンター前タイムリーで先制。5回には2番・横山裕輔(2年)のライト前タイムリーと、5番・久保拓也(2年)の右中間二塁打で3点を挙げて主導権を握った。エース英は、立ち上がりから丁寧に打たせて取る投球がさえて、相手打線を被安打1、守備も無失策で三塁を踏ませずに完封勝ちだった。
この秋からチームを率いる床次隆志監督は「守備からリズムを作る野球をずっとやってきた。しっかり守り切れたことが大きい」と力強く振り返った。
喜界を31年間率いてきた久保正樹監督がこの夏で勇退した。床次新監督がまず取り組んだのは、ミスを減らし、失点を少なくする守備を作ることだった。ノックはもちろん、特に重要視したのがキャッチボールで「キャッチボールとボール回しだけで1時間ぐらい費やす」(床次監督)こともあったという。実戦経験が積めない分、日頃の練習の中で試合中に起こりうる場面を想定し、中継プレーやカバーリング、狭殺プレーなどの練習を徹底した。
その成果はこの試合で随所に発揮された。エース英は「いつも通りの投球ができた」と自信をのぞかせる。丁寧に低めをつき、四球3と制球も安定していた。7回には四球で出した先頭打者を、バント処理の好フィールディングで二塁アウトを取った。「全体練習の後の自主練習でずっと練習していた」(床次監督)プレーだった。
久保監督のラストゲームになった夏の大口戦は、英が崩れ、守備も乱れ、やってきたことが何も発揮できないままコールド負けだった。その時と同じ市民球場、三塁側ベンチで迎えた秋に、無失策で勝てたことで「自分たちの成長を感じることができた」(朝日郁弥主将・2年)。4回戦から久保前監督が応援に来るという。英は「久保監督を泣かせるぐらい、成長した姿を見せたい」と次の3回戦突破に意欲を燃やしていた。
(文=政 純一郎)