創価vs実践学園
両輪
「今年の創価は強いらしいね」
そんな言葉が球場でちらほら聞こえてくる。強いと評判の今年の創価。このチームを牽引するのが4番でキャプテンを務める田中正義(3年)とエースの池田隆英(3年)だ。
1点差で迎えた4回裏、先発した内野聖士郎(2年)に代わって池田がマウンドに上がる。最速146キロのスピードボールを持つ大型右腕が躍動し、実践学園の打線を圧倒。
すると5回表、一死一塁の場面で打席に立った4番の田中が、甘く入ったストレートを振りぬきレフトスタンドへ2ラン本塁打。4番がエースを援護し、ベスト8へ大きく前進する。
しかし、夏の大会を勝ち抜くのはそう甘くない。
7回裏、予想だにしないアクシデントが創価のエースを襲った。無死一塁の場面で、実践学園の2番今泉諒也(2年)の送りバントが正面に転がり、それを捕球しようと勢い良くマウンドをかけ下りた池田が人工芝に足をとられ転倒。倒れながらも一塁に送球するもオールセーフとなり、ピンチを広げてしまう。
いや、ただピンチを広げただけなら良かった。マウンドとホームベースの中間地点で倒れた池田がなかなか立ち上がらない。実践学園の一塁ランナーコーチャーが急いで駆け付け、コールドスプレーを池田の足に吹きかける。
それでもまだ立ち上がれない。結局、池田は担架に乗せられて降板。エースがマウンドから消え、創価に暗雲が立ち込める。
だが、このピンチに救世主が現れる。それは、センターから急遽マウンドに上がった田中だった。続く3番千葉昴に内野安打を打たれ無死満塁になるも、4番大月光司(2年)をサードゴロ、5番下村幸一(3年)をピッチャーゴロでダブルプレーに打ち取り、この最大の危機を切り抜けた。
創価の他田中は、185センチの恵まれた体格から放たれる存在感は明らかに異質で、噂に違わぬ好選手であることは一目瞭然であった。
一方で、実践学園も素晴らしい打線だった。
9回には、その田中から2点を奪い返し、意地を見せた。
しかし、あの場面を切り抜けた田中が一枚上手だった。
(文=編集部)