愛知商vs常滑
背番号18の2年生右腕が好投
戦前を中心に春夏計18度の甲子園出場がある古豪・愛知商。近年も好選手を続々輩出し、今月の社会人野球都市対抗(東京ドーム)で王子製紙の補強選手として登板した水野鉄男投手(三菱重工名古屋)もOBの一人だ。愛知県内の公立校では上位に位置する同校はこの夏、初戦で新川を10点差で下し、2回戦も常滑をコールドで退けた。
試合をつくったのは背番号18の下級生右腕・柳慎太郎(2年)だ。スリークォーター気味に腕をしならせるきれいなフォーム。8回を投げて与えた四死球は1つと制球もよい。ストレートの球速は数字的には特別速いわけではなさそうだが、体感のスピードはあり、ボールがきていた。相手バッターにミートされるシーンもあったが、2年生が炎天下でこれだけ投げられれば十分にも思える。伸びしろのありそうな投手だと感じた。
柳は中学時代、硬式のクラブチーム「名古屋ファイターズ」に所属していた。同クラブでは同級生に140キロ右腕・吐前拓哉(至学館・2年)がいて、1学年上では選抜ベスト8左腕・濱田達郎(愛工大名電・3年)が鍛錬に励んでいた。濱田の活躍によって今まで以上の注目を集める中学チームからまた一人、愛知県の高校球界をリードしそうな卒団生が現れたとも言えそうだ。
愛知商はエースの長谷川将基(3年)が好投手と評判高いが、この日は5番レフトで出場しマウンドには上がらなかった。その分、打撃でセンター方向へ大きな打球を飛ばしセンスの一端を見せた。打線では4番成木亮(3年)が頼もしく、いかにも4番らしい痛烈な打球を飛ばし2安打1打点。9番打者でキャッチャーの谷内孝行(3年)も2安打2打点と気を吐いた。
敗れた常滑は、パワーのありそうな体型の4番沢田耕輔(2年)が目を引いた。3点リードされた4回表、劣勢を振り払うべく見事な右中間二塁打をかっ飛ばし、次打席でもセンター前へ弾き返した。沢田の二塁打に続いたのが5番中山雄介(3年)で、レフトへ二塁打を放ち1点を返した。常滑はディフェンスではエラーも絡んで失点を重ねたが、先発のアンダースロー松下泰広(2年)はまだ2年生。マスクをかぶる沢田とのフレッシュバッテリーにさらなる成長を期待したい。
(文=尾関雄一朗)