与野vs進修館

190cm右腕好投手田中1安打完封

　MAX140km、190cmの大型右腕の好投手田中寛人(3年)が登場したこの試合ということもあり注目を集めたが、彼はいたって冷静だった。

「この日は良くなかった。ストレートにたまたま合ってヒットっていうのが怖かったんで。あまり制球が良くないので」とバリトンボイスで淡々と語る田中。
この日の気温や自分のストレートの走りなどを考えスライダーの割合を多くする。この辺りは1年生の時から投げ続けている経験値を感じる。

一方、初戦の緊張もあったか序盤進修館の先発1年生左腕長澤祐太に苦しめられてきた与野打線だが、4回裏1死一,三塁7番岩原直人(3年)のスクイズで先制すると、5回裏3巡目を迎えた与野打線が長澤を捕らえる。2死2塁から3番飯泉 召(3年)のライト前タイムリーで先制するとその後4番二宮、5番田中、7番岩原に3長短打が飛び出す。これに死球やエラーも絡め結局6点を奪い一気に試合を決めた。

この場面やや継投が遅れた印象を受けたが、前の川越南戦でエース若月智也(3年)が初回に打ち込まれた後を長澤が好リリーフしほぼ9回を完投した経緯があるだけにやむを得ないか。

5回まで進修館打線をノーヒットに抑えていた田中もやや大差になりやや集中力が落ちたか6回表にこの試合唯一のヒットを浴びるが落ち着いて後続を抑えると圧巻だったのは最終回となった7回だ。

「最後は狙いました」(田中)と三者三振を狙ってとるあたりはさすがだ。

「田中がダメだったら終わりというチームにはしたくない」とあくまで与野・前田監督は全員野球を強調するが彼が中心であることに間違いない。
あくまで一戦一戦、次は齋藤監督率いる難敵・北本戦。

「ストレートを含め自分がどれだけ通用するのか確かめたい」とあくまで先を見据えている田中。フォーム的にはややスリークォーター気味でもう少し身長を活かすためにはもっと上から投げ下ろして欲しいがストレートは常時130km中盤でスライダーの制球も良くまとまっている。
彼の真価、フルスロットルで投げる姿は浦和学院戦でみられるのではなかろうか。まだまだ彼のピッチングはこんなものではないはずだ。

(文＝南英博)