千葉国際vs千葉英和

相内(千葉国際)

千葉国際　昨秋優勝の千葉英和に完勝　初のベスト8

　5月2日に予定されていた千葉英和対千葉国際の試合が二日延びて、[stadium]市原臨海球場[/stadium]に振り替えとなった。
　2試合目に準々決勝の木更津総合対中央学院。[stadium]千葉県野球場[/stadium]で松戸国際対市立船橋の試合が予定される。今年の春季大会は各地区で雨により予定が大幅に狂い、大会主催者にとって頭を悩ませている。だが今日の千葉県予選は大きく天候が崩れることなく、無事に試合を開催することが出来た。

　プロのスカウトも注目する千葉国際・相内誠はここまで2試合連続完封。評判通りの投球を見せている相内見たさに朝から多くの観客が詰めかけていた。その相内を対する千葉英和は県内屈指の強力打線だ。3番艫居春紀、4番中村尋の2人を筆頭として強力打線が売り。特に中村は成田の好投手・津留崎大地から2本塁打を放っている。相内は強力打線に対し、どう抑えていくか。投手としての実力を測る絶好の相手でもある。

　1回表、千葉国際は1番菊池が三塁手前のゴロ。サードは捕りにいくが、これをお手玉してしまい、内野安打に。一死二塁となって3番相内はセカンドゴロ。しかしセカンドが前で打球を処理できず、バウンドに合わせて捕ってしまい、送球がワンテンポ遅れた。そのロスがセーフにつながり、1死1，3塁のチャンス。
　4番の平田はピッチャーゴロ。三塁走者が飛び出し、山内は三塁へ牽制しようとするが、投げない。結局山内は二塁へ送球した。一塁走者はアウトになったが、三塁走者はその間に本塁を踏み思わぬ形で1点を先制した。もちろん挟殺すれば、三塁走者を刺すことはできたはず。一塁走者アウトにして、先制点を許したのは勿体無いプレーだった。
続く5番鏑木が甘く入った直球を見逃さず、左中間を破る二塁打。本塁を狙っていた平田は一気に駆け抜けホームイン。千葉国際が2点目を挙げた。

　注目の相内の立ち上がりは、3番艫居をスライダーで空振り三振に打ち取るなど1回を三者凡退に抑え、試合の主導権を握る。

　4回裏、1死で打席は4番中村。相内は中村に対しフォークで空振り三振を取る。バッテリーにとって理想の配球であったが、平田がこれを後逸してしまった。振り逃げで出塁。すると中村はすかさず盗塁を仕掛けた。虚を突かれたのか、平田は悪送球を投げてしまい、中村は三塁まで進んだ。1死3塁のチャンス。5番関本は犠牲フライを放ち、1点差となった。
5回表、千葉国際は8番平野が死球で出塁。更に盗塁を決め、1死2塁となって、9番青山がショートゴロ。ショートの艫居には二塁走者の平野が視界に飛び込んだ。
　三塁に投げてフォースアウトにするか、それとも一塁へ投げるか。艫居のプレーからそういう迷いが見えた。結局一塁へ投げる事を選択したが、ロスが命取りとなり、オールセーフに。1死1，3塁と千葉国際がチャンスを作る。ここで1番の菊池がスクイズ。しっかりと前へ転がし、スクイズ成功。が相手のミスを逃さずに着実に得点を重ねていった。

艫居(千葉英和)

　この日の相内は調子自体はあまり良くはなかった。
ブロック予選のフォームと比べるとリリース時に勢いがない。どうも抑え気味で投げていた。当然、直球は走らず、この日は140キロ台には届いていないだろう。
「今日はストレートが走っていないのが明らかだったので、変化球中心で抑えていくことにしました」と話した相内。

　無理に直球中心の投球にならず、変化球中心の配球で良かったのかもしれない。スライダー、カットボール、フォークを投げ分けて、猛威をふるっていた千葉英和打線を交わしていき、スコアボードに０を刻んでいく。
3番の艫居にはカットボール、4番の中村にはフォークで打ち取ることを選択した。艫居は4打数0安打。中村から2三振を奪い、キーマンである千葉英和の2人を抑え込んで完全に試合の主導権を握った。

だがちょっとした異変があった。後半になって相内の走り方がぎこちない。腰を痛めているように見えた。

　9回裏、4番中村はそれを察知していたのか、初球をセーフティバント。相内の前に転がり処理に向かうが、腰を深く落とすことが出来ず、握り損ねた。セーフとなり、無死から走者が出塁する。やや疲労気味の相内にとって大きな出塁だったが、5番関本が二塁併殺。これが相内を助けることとなった。最後の打者をセンターフライに打ち取り、ゲームセット。千葉国際が千葉英和を下し、ベスト8進出を果たした。

　千葉国際は昨秋の大会で東海大望洋と対戦し、2点を先行しながら終盤に3点を奪われ、2対3で逆転負けを喫している。悔しさを忘れないため、高瀬監督は秋季大会終了後、東海大望洋戦のスコアをグラウンドに貼り、常に意識してきた。強豪校に勝つことを目標に置いて練習を重ねてきた。上昇の気配が見えたのが11月に行われた第8ブロックに所属する学校を中心に行われる南部大会で拓大紅陵を破り優勝した。
　
　そしてこの春、昨秋優勝の千葉英和を破ったことはチームにとって大きな自信になったはずだ。次は南部大会決勝で戦った拓大紅陵と夏の千葉大会でのAシードをかけて戦う。

　ただ心配なのは相内の腰の状態。試合終了後、高瀬監督も「今まではそういうことはなかったんですけど、今日はそれが目につきましたね」とエースの異変に気づいていた。相内も報道陣からの腰の事を聞かれ、腰が痛いということを正直に答えていた。
　エースの異変が心配ではあるが、今まで千葉国際の戦いぶりを見ると、全員でカバーしあって拓大紅陵に立ち向かっていくのではないだろうか。次の拓大紅陵戦こそ千葉国際のチーム力が試される。

(撮影・文＝河嶋宗一)