東海大相模vs桐光学園
先発・青島(東海大相模)
注目1年生がデビュー
ともに背番号1をつけた桐光学園・松井裕樹、東海大相模の庄司拓哉はベンチスタートとなった。
先発は桐光学園が背番号21の左腕・佐藤圭一、そして東海大相模が1年生の青島凌也。青島は愛知の軟式クラブ・東山クラブの出身で、3年秋には全日本少年準優勝に輝いた実績を持つ。軟式ボールで140キロ近いストレートを投げており、二けた奪三振は当たり前。県内外からの強豪から誘われたすえ、東海大相模に進んだ。
「夏を考えての起用」と、抜擢した門馬敬治監督。今年は絶対的な柱が不在で、複数のピッチャーでの戦いを頭に描く。その一人として、青島に期待をかけている。
注目の立ち上がり。ストレート主体のピッチングで簡単に2アウトを取るも、3番・宇川一光にインコースのストレートを引っ張られ二塁打、さらに植草祐太には3ボール2ストライクからアウトハイのストレートをとらえられ、連続二塁打。早くも1点を失った。
東海大相模はすぐさま、押し出し四球で追いつくも、3回に再び青島が失点。2回から増やしたカーブが甘く入り、5番・水海翔太にレフト前タイムリーを打たれた。
結局、青島は4回を投げて、5安打4三振2失点で降板した。「もうちょっと、力を抜いて投げられればよかった。まだまだ、硬球を扱いきれていない」と門馬監督。本格的に硬球を握り始めて、およそ1か月。その期間を考えれば、上々の内容ともいえる。3回にはキャッチャーのサインに2度クビを振り、自らカーブを投げるなど、いろいろと考えている様子は見えた。今回の使われ方を見ていると、準々決勝以降の戦いでも登板機会がありそうだ。
東海大相模の打線は3回まで佐藤圭を攻めあぐねていたが、4回裏に代わったばかりの二番手・池田凌理を攻めた。先頭の服部創太が二塁打で出塁すると、2アウト後に石川裕也がライトオーバーの三塁打。ライト後ろの難しい打球だったが、グラブに当てていただけに桐光学園にとっては痛いプレーとなった。
ここから死球をはさんで、東原慎、磯網遊斗、森下翔平、遠藤裕也の右打者が4連打で、この回一挙に6点。それでも、「打ったコースがよくない」と門馬監督は辛い評価だった。4連打のうち3本がレフトへのヒットで、そのうち2本が三遊間を抜けたゴロヒット。飛んだコースがたまたまよかったという解釈だ。
ショート武(桐光学園)
追う桐光学園は、5回に東海大相模の二番手・仲宗根大都に対して、山口翔大、田中頼人の連打で2点。田中の当たりは右中間への飛球だったが、センターとライトがお見合いし、間にポトリ。桐光同様、外野手にらしからぬミスが生まれた。
これで3点差。試合がもつれてきたところで、桐光学園は5回裏から左の工藤江大にスイッチ。この工藤が先頭にフォアボールを与え、次の桒原拓朗にいい当たりのファウルを打たれたところで、ベンチが動いた。背番号1の松井を投入。松井は高めに伸びるストレートと、ウイニングショットのタテスライダーで2三振を奪い、貫録のピッチングを見せた。
松井は練習中に打球を足に受けるアクシデントがあり、ピッチング練習を始めたのが今週に入ってからという事情があった。
松井の登板により、中盤以降は松井vs東海大相模打線が見どころとなった。
6回裏、1アウト後、2番・磯網が真ん中のストレートを芯でとらえ、センターオーバーの二塁打を放つと、続くは3番・森下。1ボール2ストライクから、低めのボールゾーンに落ちるタテスラをうまく拾い、左中間の二塁打。初めて、タテスラをとらえた。
そして7回裏には、石川がストレートをセンターへ、東原がベルト付近のスライダーを引っ張り、さらに1点を加点した。石川が打ったのは高めの完全なボール球。東海大相模打線はここのボールをあえて見送らずに、打ちにいっていた。ストライクゾーンを上げることが、松井対策のひとつのように見えた。
東海大相模は仲宗根のあと、小田桐丞、福島大輝とつなぎ、9回にエースの庄司が登板。打者3人を簡単に打ち取り、ゲームを締めた。
夏、対戦することがあれば、松井が頭からくる可能性が高い。そのときに今回の対戦がどのようにからんでくるか。再びの対戦を楽しみにしたい。
東海大相模の青島同様、桐光学園も1年生がスタメン出場を果たしていた。8番ショートの武拓人だ。とても1年生とは思えぬ落ち着いたプレーぶりで、攻守にセンスの高さを披露。第一打席で、青島の初球カーブを引っ張りライト前ヒットを放った。ボーイズの湘南クラブ時代から名の売れていた選手で、日本代表にも選ばれている。
武のほか、桐光学園は3人の1年生がベンチ入り。夏に向けて、メンバー争いが熱くなりそうだ。
(文・写真=大利 実)