鳥栖vs鹿児島商
試合シーン
鳥栖•初瀬が2安打完封で初戦突破
昨秋、大分で味わった悔しさを地元佐賀のマウンドで、鳥栖•左腕エース初瀬耕輔が晴らした。
「調子も良かったし、地元開催の九州大会だったので、緊張もなく投げることができた」と笑顔で振り返った投球は、111球を投げ打たれた安打は2、13三振を奪う完璧な内容。鹿児島県2位の鹿児島商打線に付け入る隙を与えなかった。
序盤は鳥栖•初瀬、鹿児島商•福永の投手戦となった、初瀬が持ち味であるクセ球のストレートと、キレのある横のスライダーで鹿児島商打線を封じると、福永は、緩急をつけた投球で、安打は許すものの要所を締め得点を許さなかった。
ポイントは両チーム無得点で迎えた6回だった。
鳥栖•初瀬耕輔は、鹿児島商•八番福永翼に四球で出塁を許すと、2死後、一番亀本和雅、二番富塁寿に連続して死球を与え満塁のピンチを招く。
昨秋、四死球をきっかけにリズムを崩し失点した敗戦が頭をよぎった。だが、初瀬は、
「バックを信じて、弱気にならず、自分ならできる」とこの日迎えた最大のピンチにも強気に内角を突き、三番丸田翔太郎をセカンドゴロに打ち取った。
「よくここを踏ん張った。秋は同じような場面で押し出し四球などリズムを崩していた。成長したかな」と平野國隆監督。
「今までにないくらいよかった。初瀬の表情が良かったので大丈夫だと思っていた」とセンターを守る八坂も、ピンチの場面を振り返った。
初瀬がこの日の与えた四死球はわずかに2。県予選の佐賀工戦では、13四死球を与えるなど、故障の影響から制球に不安を抱えていたが、相手にのまれることなく見下ろして投げている雰囲気さえあった。
試合シーン
初瀬がピンチを凌ぐと、打線も応えた。
7回、二死から四球をきっかけに1•2塁のチャンスを作ると、打席には三番•八坂健司。
「初瀬が抑えていたので、なんとか点を取りたかった。福永投手の気迫が凄かったので、立ち向かう気持ちで打席にたった。振り抜こうとだけ思った」と、2ボール1ストライクからの高めの抜けた変化球を振り抜くと、打球は、ライトの頭上を超える適時三塁打となり待望の先制点となった。八坂も四番•西依拓真の内野安打の間に返りこの回、3点を挙げた。
「6回のピンチの場面でも、よく声が出ていた。あそこを乗り切って、打線に勢いがついた」と平野國隆監督は、7回の攻撃を振り返った。
秋、大分で開催された九州大会での雪辱を晴らした鳥栖。
試合後、タイムリーを放った八坂健司は、「チームが1つになって、甲子園に出た強豪校に勝っていきたい」と次試合に向けて力強く語った。
一方、鹿児島商は、6回のチャンスを生かすことが出来ず、エース福永が粘りの投球を見せるも、7回に力尽きた。
(文=藤吉 ミチオ)