東海大高輪台vs都立八王子北
先発した辻脇(東海大高輪台)
東海大高輪台、充実の投手陣でベスト8進出
3回戦でセンバツベスト4の関東一を下す大金星を挙げた都立八王子北と、近年安定した結果を残している東海大高輪台の戦い。勝者がベスト8進出となる。
先発は八王子北が関東一打線を2失点に抑えたエースの出田一成、東海大高輪台が辻脇圭助。背番号11の辻脇は、公式戦では昨秋のブロック大会以来の先発となった。
序盤、主導権を握ったのは東海大高輪台。1回、二死から3番・関結太の三塁打、4番・大口眞人のタイムリーで先制すると、2回には一死二塁から平尾優がレフト前タイムリー。さらに、3回には関にライトオーバーの本塁打が飛び出し、3対0とリードを広げた。
関はここまでの2試合で本来の当たりが出ず、宮嶌孝一監督も心配をしていた選手。試合後には、「今日は関が打ってくれたことがまず大きかった」と、中心打者の復調を喜んでいた。
今大会初先発となる辻脇は180センチ82キロのがっちりとした体格を生かし、重い球質のストレートを投げ込んでくる。時折、混ぜるフォークも効果的で、5回まで散発の4安打に抑えた。
八王子北の出田も中盤から立ち直り、4回から7回までは2安打。微妙に動くストレートを軸に、左バッターの外にはシンカー系の沈む球、右バッターの外にはスライダーを配し、打たせて取るピッチングを見せた。
東海大高輪台は、6回裏一死二塁とピンチの場面で、辻脇から背番号10の井上凌太にスイッチ。3回戦の国士舘戦で先発し、好投した井上。こちらは、辻脇とは対照的に172センチ61キロの細身。球のキレで勝負するタイプだ。
井上は落ち着いたマウンドさばきで後続を内野ゴロに抑え、ピンチを凌いだ。
関(東海大高輪台)
3対0から膠着していた展開が動いたのが8回表。
東海大高輪台は先頭の渡辺諒が三塁線を破る二塁打で出塁し、関が四球で一、二塁。ここで、宮嶌監督は4番・大口に手堅くバントのサインを出すが、八王子北のピッチャー出田が攻守備を見せ、三塁封殺。
一死一、二塁となり、打席には5番・望月翔太。初球を投じる前に、八王子北に手痛いミスが出た。出田の二塁けん制が悪送球となり、二塁ランナーが三塁へ。送りバントを防いだあとだっただけに、心理的にも響くミスだった。
その直後、カウントを取りにきた甘いストレートを望月が逃さずに強振。左中間を抜く二塁打となり、2人のランナーが生還。貴重な2点が入り、5対0と点差を広げた。
投げては、辻脇、井上の両投手連打を許さず、完封リレーでゲームを締めた。
「正直、ここまで勝てるとは…。試合をするたびに力をつけてきてくれました」と振り返った東海大高輪台の宮嶌監督。
決して、飛び抜けた力を持つ選手がいるわけではない。個々の選手がそれぞれの役割をきっちりとはたしている印象だ。
その中で宮嶌監督が「ひとつの特徴」と話すのが、ピッチャー陣の充実。2年生エースの佐藤洋叡を中心に、今日投げた3年生の辻脇、井上の右腕3人がいる。さらに、「コントロールが良いピッチャーで、どこかで起用したい」と宮嶌監督が話す、左腕の熊倉隆太の信頼度も高い。
結果と経験。この2つをしっかりと両立させながら、ベスト8にまで勝ち進んできた。次は4月22日、[stadium]神宮第二球場[/stadium]で佼成学園と戦う。
(文=大利実)