山県vs海津明誠
山県・安達
部員11人の山県快勝 大黒柱・安達は好素材
2・3年生合わせて部員11人の山県が序盤のリードを保って海津明誠を退け、春季県大会ベスト16入りを果たした。
少数チームということもあってか、186センチ・87キロの体躯がひと際目立つ。山県の大黒柱・安達和貴が投打に圧倒した。投げては相手打線を散発3安打に抑え、二塁を踏ませぬ完封劇。真上から投げ下ろす外国人投手のようなフォームは迫力十分で、ことごとく相手バッターを詰まらせた。打っては第3・第4打席、レフト方向へロングヒットを連発。スイングをはじめとした打席での姿がいかにも「スラッガー」で長打力抜群、ここまで高校通算18本塁打をマークしている。「来た球を打つだけです。長打は狙わず、何とかして塁に出ることを考えています」と話すが、素材の良さは一目瞭然だ。
安達だけでなく、チーム全体にも魅力がある。初回に5番井上翔太が鮮やかにセンターへ弾き返して3点タイムリー三塁打にすれば、5回裏には6番後藤隆成が猛烈なヘッドスピードのスイングでレフトスタンドへ放り込んだ。
フィールディングが良い遊撃手・森田真規をはじめ、守備も綻(ほころ)びはなく無失策。「部員11人」のイメージとは対照的に、鍛えられている印象を受けた。
篠田祥史監督は「(鍛えられているなんて)とんでもない、あまり追い込むこともなく、普通に練習しているだけです」と控えめに話し、「前の3年生14人が抜けて、新チーム結成時は(部員11人となり)憂鬱でした」と打ち明ける。「ただ、少ない人数をプラスにとらえるしかない。チームとして徹底すべきことを徹底しています」。
山県は7年前の春に県大会で準優勝するなど、野球部の伝統や土壌はある。この日ベンチ入りしなかった新入生は15人前後が入部予定で、ひとまず部員不足は解消されそうだが、3年生5名、2年生6名が中心となり、この春そして夏に大きな活躍を見せてくれそうだ。
敗れた海津明誠は4番・捕手の主将広井千晃やエース杉野勝哉、5番渡辺圭秀を中心に西濃地区大会を2位で勝ち上がったが、この日は劣勢を跳ね返せなかった。
(文=尾関 雄一朗)