試合レポート

阪南大高vs上宮太子

2011.07.23

流れを味方に

 阪南大高上宮太子という2回戦屈指の好カード。両校とも甲子園出場経験があるが、阪南大高は校名が大鉄より変更になって以後は甲子園出場がなく、上宮太子も01年夏の出場以後出場がない。両校とも毎年跡一歩のところまで勝ち進むので、今年こその気持ちが前面に出た好ゲームとなった。

 試合は阪南大高の先発はエース安保和城。長身で腕の出所が見ずらいフォームから変化球をうまく使いストレートを早く見せ打たせて取るピッチングが持ち味である。上宮太子の先発はこちらもエース山北勇貴、安保同様長身で同じような体格であるが、ピッチングスタイルは全く異なる。バックスイング時に右腕が背中側に入り、腕の出所が見やすいフォームであるが、しっかり指にかかったときのストレートは140キロ近く出るであろう。ストレートでぐいぐい押すピッチングが持ち味である。
 阪南大高は初戦3安打2打点の4番小田剛士、2安打4打点の5番片山遼の前に如何にランナーをだすかがこの試合のポイントとなった。

 1回表阪南大高上宮太子山北のストレートを狙う。先頭の口野良祐がライト前にクリーンヒット。続く西野和也が送りバントをしっかり決める。2死後4番の小田がストレートをまたも捕らえセンター前に痛烈なタイムリーヒット。阪南大高が1点を先制する。
 対する上宮太子は2回裏にチャンスを迎える。先頭の4番山下寿徳がライト右へ2塁打を放ち、ノーアウトランナー2塁。続く5番佐伯良がバントの素振りを全く見せず四球を選ぶ。6番末浪直幸が三塁線へ絶妙の送りバントを決め、一気に押せ押せとなるが、ここから安保が踏ん張る。7番井上慎也に対し変化球にタイミングが合っていないと見るや変化球を3連投し3球三振に切って取る。8番山北には変化球で追い込み、最後は素晴らしいストレートを投げ込み連続三振。ピンチを切り抜ける。


 3回表阪南大高に文字通りピンチの後にチャンスがくる。先頭の3番上村侑世がセンター前ヒット、4番小田の一塁ゴロの間に上村は2塁へ。5番片山が2打席連続のセンター前ヒットを放ち、ワンアウト1,3塁とする。ここで6番坂根康寛がカウントワンボールからスクイズ。ピッチャー前に転がり、山北が必死のグラブトスも高めに浮き、その間に上村の足が入り、2-0とする。
 3回裏にはノーアウト1塁から1番熊野義大のレフトへの大飛球。これを西野がファインプレイ。上宮太子に傾きかけた流れをまたもや引き戻す。その後7回まで、両校毎回のようにランナーを出しながらも、阪南大高安保、上宮太子山北が相手に流れを渡すべく、何とかギリギリのところで踏ん張り8回へ。

 8回両校に大きなチャンスが訪れる。8回表阪南大高は代わった浦野太暉を攻め、3番上村のタイムリーで待望の追加点を挙げる。 

 しかしその裏上宮太子にこのゲーム最大のチャンスが訪れる。先頭の9番肥田直斗が死球で出塁、その後2番谷護、3番柴田幸大の連打で1アウト満塁。ここで迎えるのが今日3安打の4番山下。山下は果敢に初球を叩くもショートへのライナー。三塁走者が飛び出し、3イニング連続のダブルプレーで、ここも阪南大高安保が踏ん張った。

 9回に阪南大高はダメ押しともいえる1点を加え、9回のピンチも安保が踏ん張り、4-0と阪南大高上宮太子を下し、3回戦へ駒を進めた。

 試合の流れが、行ったり来たりの好ゲームであった。あと一歩のところで阪南大高が踏ん張り、流れを引き戻したことが勝利に繋がったと思われる。4,5番が期待に応え、エースも粘り強く完封。今後も見続けていきたいチームである。

 上宮太子も、負けはしたが後一歩のところであった。スタメン、ベンチ入りはほとんどが1,2年生。経験の差が出たのかもしれない。しかし山北、山下をはじめセンスあふれる選手がたくさんいる。来年は台風の目となるかもしれない。

(文=編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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