健大高崎vs樹徳
創部10年目節目の年、健大高崎、悲願達成へ夢が膨らむ4強進出
今年の群馬大会のベスト8は、桐生一、東農大二、今春選抜出場を果たした前橋育英などが敗退して、私学は2校のみになっていた。その両校がぶつかり合った。
実は、この顔合わせは、2年前にも同じ準々決勝で当たっている。
そして、その時は、健大高崎が途中まで3―2とリードしつつも、中盤から一気に崩れて10―3でコールド負けしている。
健大高崎は、その負けを反省材料として機動力の強化と守りの整備をテーマとして取り組んできた。
そして、創部10年となる今年は、その勝負年として守りで崩れないチームとして、青柳博文監督もある程度の手ごたえを感じている。
この試合、健大高崎にとっては、中盤までは理想的と言ってもいいくらいの試合展開だった。
先発星野君は、これまでにないくらいと言ってもいい完璧な滑り出しで、5回まで1四球のみのノーヒットピッチング。しかも、その走者とて、併殺で処理。初安打された6回も併殺で切り抜けて、6回を終えて打者18人で抑えていた。
その間に、健大高崎打線は初回、2死二塁から四番門村君の左前タイムリー打で先制。その後は、走者を出しつつも、樹徳の矢野君の粘り強い投球に、あと一本が出ないで、やや歯がゆい攻めもあったが6回、1死から五番内田君が死球で出ると、柳澤君が中前打して一三塁。続く、長坂君のスクイズが安打となって追加点が入る。なおも、2死満塁としたところで一番小池君が左前へ2点タイムリー。ここまでは、健大高崎としては出来過ぎくらいの試合運びだった。
しかし、さすがに準々決勝。そう簡単には勝たせては貰えない。
7回に一番からの好打順の樹徳は、本多君が死球で出ると、大竹君の遊撃ゴロは併殺を狙ったところが、二塁、一塁どちらも間に合わず無死一二塁となる。その後、1死一三塁となって、樹徳はもっとも信頼できる四番根岸君が右前打して1点を返して、なおも一二塁。
ここで、健大高崎は星野君を諦め生井君を送り込んだが、廣瀬君が二塁打して2点差となってなおも二三塁。一打同点の場面となった。青柳監督は、すぐに、左サイドハンドで、今大会抑えとしての役割を果たしている片貝君を送り出したが、ストライクを取ろうと甘く入ったところを、高実子君が左翼線へ二塁打して同点。試合は振り出しに戻った。
こうして、試合の行方はまったく分からなくなってしまったのだが、9回の健大高崎は二番湯本君が右前打するとすかさず二盗。その送球がそれて、三塁まで進んだ。竹内君四球後、先制点を叩き出した門村君の打球は、右中間を破るかというライナーだったが、本多君が好捕。しかし、それが犠飛となって、三塁から湯本君がホームイン。結果的に、これが決勝点になった。
健大高崎としては、快勝ムードから一転苦しい試合となってしまったが、試合後青柳監督は、「今年は、走れる選手が多いので、いろんなことが出来ます。練習試合を通じても、接戦をものにしてきていますから、競り合いに強いチームになってきたという実感はあると思います」と、競り合いになっても慌てなかったことが大きいと、勝因の一つに挙げていた。そして、それ以上に、「75人の部員が、いい雰囲気です」と、チームのまとまりを感じているようだ。
悲願の初出場へ、あと二つとなった健大高崎。創部10年目に花を添えることが出来る位置にまでたどり着いた。
一方、惜しくも、1点届かなかった樹徳の井達誠監督は、「7回は4点差あったので、とにかくつないでいこうということで行ったのですが、結果的に追いつくことが出来ましたが、あと一本出ていれば…、と思います」と、残念がった。
それでも、ここまでの戦いについては、「3年生は根岸を中心に、よくまとまってくれました。ここまでやってきたことを今後に生かしてほしいと思います」と、しみじみと語っていた。
(文=手束仁)