東温vs今治南
東温のスピードスター・池田寛人躍動す!
【試合経過】
坊ちゃんスタジアムでの愛媛大会開幕戦は序盤から東温ペースに。1回表・相手守備の乱れを契機に、4番・光田一樹(2年)からの3連打で4点を先制すると、3回に4点、4回にも光田のタイムリー2塁打で合計9点を入れて試合を決める。
一方の今治南も、1・4回に1点ずつを返す粘りを見せたが、東温先発左腕・加藤省吾(2年)→右腕・吉本浩貴(3年)のリレーを前にあと一本が出ず7回コールド負け。3失策がことごとく失点に絡んだことも痛かった。
【ピックアップコラム】
毎年3月上旬に開催される「今治西高等学校OB指導者交流戦」。愛媛県の注目高校生が多数集うこの大会を取材した際、今治西と対戦した東温の3番打者に筆者は目を奪われた。強いスイングから逆方向に伸びる打球、スピード感あふれる走塁に遠投100メートルの強肩を活かしたセンター守備。174センチ74キロと決してサイズは大きくない上に、所々荒削りゆえのミスはあるものの、そのポテンシャルは明らかに他と比べても群を抜いていたのだ。
当時の八木俊博監督(現:上浮穴高教頭)も「面白い選手」と、大和銀行でのプレー経験も持ち、現在、東温高校野球部への指導を行っているSEB体育企画株式会社・高須賀潤トレーナーも「投げたら140キロは出します。すごい身体能力を持っています」と評するその彼の名は池田寛人(3年)。よって4ヶ月が経過し最後の夏を迎えた池田にとって、この開幕戦は勝敗と共に「自分の特徴を周囲にみてもらう」絶好の機会となったのである。
そして、池田をはじめとする東温ナインは「いたって普通でのんびりしていた。普通通りでした」と和田健太郎監督も驚くほどの平常心で、3打数2安打3得点1盗塁と躍動感あふれるプレーを見せる。特に目立ったのは3回表・先頭打者での3塁打。左中間にボールが転がると見るや、50メートル走5秒9の足を回転させてノンストップで3塁へ向かう様は、まさに「スピードスター」らしい動きであった。
それでも試合後は「守備では後ろに守りすぎました。次はもっと状況をみていきたい」と反省を忘れなかった池田。「大学で野球をやって、打って走って守れる青木(宣親・東京ヤクルト)選手を目指したい」彼の目指すものはどこまでも高い。
(文=寺下友徳)