桶川vs市立川越
柏(桶川)
最後は投手力
この試合も例外なく風に流れを左右される。
この日の両チームの先発は、市立川越は予定通りの綿貫に対し、桶川の先発は一昨日、秋の関東大会にも出場した鷲宮を3安打完封した左腕・武藤ではなく、大方の予想に反し(監督は単純に順番通りと説明)左に好打者の多い市立川越に対し右腕の柏を先発させる。柏は130km前後のストレートを軸にカーブ、スライダー、チェンジアップをコーナーに投げ分けるタイプの投手である。
1回表、市立川越は先頭の桑山がヒットで出塁すると、盗塁とワイルドピッチで無死3塁とする。だが、後続が倒れ無得点に終わる。それに対し桶川はその裏1死1,2塁から4番・原田のタイムリーで幸先良く先制する。
「左打者に対しても強気にインコースを攻めるだけです。調子は昌平戦より良かった」(柏)
と言うように、その後尻上がりに調子を上げていった桶川・柏に対し、市立川越の綿貫はその後もフォアボールを連発し全く立ち直る気配をみせない。ピッチャーが作った悪い流れが守備陣にも伝染し守備陣も軽率なエラーを連発する。
一方の桶川は相手のミスに乗じ、うまく足やスクイズなどを絡め着実に加点する。一時は7-1と大量リードを奪っていた桶川だったが、この試合も、第一試合の大宮東 – 浦和実戦に同様、風のいたずらがゲームの流れを一転させる。
8回に2点を返したがそれでも、3-7と4点のビハインドを背負っている市立川越は最終回に代打攻勢をかける。この回先頭の代打小笠原が粘ってフォアボールを選ぶが、続く代打の倉田はセンター定位置付近へフライを打ち上げてしまう。しかし、その打球が風でショート後方付近まで戻されポトリと落ち(結果は2塁打)1死1塁のはずが、無死2,3塁となってしまう。
武藤（桶川）
ここで、桶川ベンチはたまらず、先発の柏からエースの武藤へとスイッチする。武藤はいきなり初球ワイルドピッチで1点を失うが、それでも続く桑山、代打の大岩根を抑え2死3塁とする。だが、ここから3番・冨岡、4番早川に連続長短打を浴び7-6とされると、続く代打の甲斐にもセンター前ヒットを打たれ、ついに7-7の同点とされてしまう。
さらに、10回表には、フォアボールと送球エラーで無死2,3塁とされ、絶体絶命のピンチを背負う。だが、
「9回は自分が試合を壊してしまった。準備はできてたんですが実際にマウンドに立ってみると緊張した。だから、あの場面は何とかしたかった」(武藤)
と言うように、ここからエースが真骨頂を見せ、その後の3人をピシャリと抑える。
すると、11回裏桶川が長いゲームに終止符を打つ。9回からマウンドに上がった市立川越・早川は、この回先頭の土井、続く送りバントの構えの渡辺を連続で歩かせてしまう。
その後、1死満塁となり3番・畑野の打球はセカンド横への内野安打となり、サヨナラで桶川が4強進出を決めた。
市立川越は、9回代打攻勢で4点差を追いついた粘りは賞賛に値するが、他に投手の代えがいない状況で(エースの大岩根は怪我もあり大事を取って登板回避)2番手投手秋葉に代打を出してしまったためピッチャーがおらず、苦肉の策として練習試合でも登板経験のない早川をピッチャーとして使うこととなり最後は力尽きた。
桶川は、昨年の川越東同様どちらがエースといってもおかしくない左右の2枚看板がいるだけに夏が楽しみなチームであるが、まずは5月3日関東大会への切符をかけて左右の2枚看板と得意の機動力野球で花咲徳栄に挑む。
（文＝南 英博）
