上尾vs滑川総合
河合(上尾)がタイムリー打
両軍合わせて27安打、上尾が乱戦を制す
いうならば、ノーガードの打ち合いというところだろうか、とにかくお互いがよく打った。何がどうというよりも、特に前半は、フリー打撃のように出てくる打者がそれぞれ気持ちよさそうに打っていた。ただ、失策がほとんどなかっただけに、投手は打たれていたけれども、見ていてボロボロになっていく乱戦ではなかったというのは救いだった。
5回を終わって、上尾は13安打で10点。二番新井君の2打席連続二塁打なども効いていた。滑川総合は10安打すべてが単打で5点。得点は長打の差ともいえるのかもしれないが、3回に見せた滑川総合のパチンパチンとはじき返していく打撃も見事だった。
上尾の背番号3の伊藤康君、滑川総合の背番号10の戸澤君の両先発投手も力がないわけではないのだろうけれども、コースが甘かったということだろうか。ある程度スピードがあることで、却ってはじき返され出すと歯止めが利かなくなったというところもあったかもしれない。
元々力のある打線だけに、打ちだしたら勢いは止まらず、こうした打ち合いになっていったのだろう。5回を終えてグラウンド整備になった時は、試合開始から1時間50分を経過していた。早い試合だったら、既に終わっているところでもある。
ただ、こういう試合が6回以降にピタリと違う展開になっていってしまうこともあるのだけれども、滑川総合はこの回から竹内君を送りこんだが、上尾の勢いは止まらなかった。代わり端にリリーフのマウンドに立って七番に入っていた菊地君が二塁打すると、失策と四球もあって好機を広げ、三人目の西舘君に対して新井君のタイムリーと犠飛でさらに2点を追加した。
そして、上尾は3回途中から投げていた菊池君が踏ん張り、さらには6回途中からは3人目の西舘君が抑えて、結局上尾がコールドゲームという形で振り切った。
橋本(滑川総合)
かつて70~80年代にかけては埼玉県の高校野球をリードする存在だった上尾である。
その時代に「上尾高校」のユニホームを着ていた人たちが現在、県内外で多くの指導者となって活躍している。代表的な存在としては、浦和学院の森士監督、桐生一の福田治男監督がいる。
そして、この試合でも上尾の高野和樹監督は昨年、長年いた鷲宮から異動し、昨秋の新チームから母校の指揮を執ることになった。鷲宮ではそれなりに実績を残しただけに、「強い上尾」へ期待を担っての就任でもある。
また、滑川総合の五十嵐俊一監督も上尾出身であり、この試合は先輩後輩の監督対決にもなった。
ところで、滑川総合は旧校名の滑川時代の98年夏に甲子園出場している。四番で捕手ながら突然マウンドに上がってトルネード気味の投法で140キロ以上のストレートを投げ込んでファンを唸らせた久保田智之を擁して2勝して話題を奪った。その久保田投手兼捕手は、阪神の抑えトリオの勝利の方程式JFKで話題になった、「K」の久保田投手である。常磐大を経て03年にドラフト5巡目でプロ入りした松坂世代だ。
(文=手束 仁)