試合レポート

実践学園vs早大学院

2011.04.07

実践学園vs早大学院 | 高校野球ドットコム

二試合連続となるホームラン宮地(実践学園)

守備力の差が明暗を分ける

昨秋ベスト8の早大学院と堅実な守備が光る実践学園の対戦。
試合は1回の裏から動いた。実践学園は1番山下がセカンド強襲ヒットで出塁すると2番下村のバントヒットで出塁。ワンアウト1,2塁から4番田村のセンター前タイムリーで実践学園が先制する。
2回の裏には8番宮地が二試合連続となるホームランで2点目。意外性のある宮地がまたも一打を見せた。これでチームは積極的な攻撃を仕掛ける。

3回の裏、ノーアウト一塁から2番下村がプッシュバント。
打球は三塁手の横へ抜けていき、レフト前へ。ワンアウト1,2塁となって3番久保嶋が送り、4番田村が狭い二遊間を抜けるライト前ヒット。まず二塁ランナーがホームイン。一塁ランナーは三塁へ。早大学院はライトからセカンドへ中継。セカンドがサードへ送球したが、サードの横に逸れて、三塁に駆け込んだ下村もホームイン。田村は三塁へ。そして5番鹿嶋がセンター前ヒットを放ち、5対0とする。しかし早大学院も回の表に反撃開始。

まずワンアウト三塁から4番田島の内野ゴロの間に1点を返し、ツーアウト1,3塁から8番小野の2点タイムリー、5対3に追いあげる。しかし後続が抑えられ3点止まり。4回の裏を0点に抑えて次の攻撃につなげたい早大学院だが、ツーアウト1,2塁で2番下村。下村が放った打球はセンターへ大きな飛球。センターは追いついたが、捕球することができず、ボールは後ろへ転々。二者生還し、7対3。5回の裏にも点を加えて8対3とし、三竹が5回以降、無失点に抑えゲームセット。実践学園が3回戦に進出した。

 この試合は守備力の差が試合を分けた。実践学園は内外野ともに鍛えられている。
まず内野手は慌てて処理を誤ることはほとんどない。
特にショートは深い位置から守っていてもノーバウンドで送球できており、地肩の強さを感じる。外野手も打球にしっかりと反応しており、落下地点に早く到達している。
地肩は全員基準に達しており、山なりではなく、ライナーで返球できているために無駄な進塁も許さない。
一方で早大学院は内外野ともに簡単なエラーが多かった。実践学園の守備力ならばアウトにできる当たりを彼らはヒットにしている。8安打で8得点の実践学園、9安打で3得点の早大学院。安打数は上回っているのに3点しか取れないのは、攻めのチグハグさだけではなく、要所で実践学園の守備力が光っていたからだろう。それだけに早大学院の守備のミスは勿体なかった。


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三竹芳孝(実践学園)

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実践学園のエース三竹芳孝は2試合連続完投勝利。
とにかく安定感抜群の右腕だ。ストレートは120キロ後半ぐらいと速くはないが、両サイドへ投げ分ける配球。スライダー、チェンジアップ、カーブを効果的に使い分け、ヒットを打たれても粘り強い投球を見せていた。
その三竹をリードするのが鹿嶋 大樹。先日の桜美林戦でも活躍を見せていたが、この試合は捕手としても、打者としても活躍。ストレート、変化球を駆使し、早大学院を抑え込む。そしてピンチになった時、エラーが出た時にすかさず三竹の下によって声をかけており、投手への配慮もしっかりしている。そして野手への指示も怠らない。三竹の好投、リズムの良い守備を引きだしたのも鹿嶋のリードによる部分が大きいだろう。この試合では2安打1打点。ボールに逆らわずに打ち返すことができていた。次は足立学園のマックス146キロ右腕・吉本を打ち崩した創価と対戦。更に鹿嶋の働きが期待されそうだ。

ファーストの田村 晃大(右/左 184センチ77キロ 背番号5)は3打数3安打の活躍。
スタンスはオープンスタンス。重心を低くして構えるが、腰の開きが早いフォームで左投手のスライダーには苦労しそうな打ち方をしている。

まだ成長段階の打者のようで今後が楽しみな打者。背番号5なので、サードが本職か。次はサード・田村を拝見したい。


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小野央也(早)

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早大学院のエース小野 央也(右/右 185センチ75キロ)は5回9安打8失点と散々な投球。本日の投球に限ればストレートが出来ていなかった。右スリークォーターから繰り出す速球は常時125キロ~130キロ前半ぐらいか。変化球はスライダー、チェンジアップ、カーブを投げていたが、すべて小手先で投げているために見極めがしやすい。

気になるのは肘が前に出ずに腕が振れないフォームであること。何か縮こまった投球フォームで恵まれた体格を活かすことができていなかったのは残念であった。クイックも1,3秒前後と速くはなく、フィールディングの動きもキレがなく、課題は山積み。ただ体格は素晴らしいものがあるだけにぜひ今の欠点に気づいて夏まで修正を図ってほしい。

左腕の田中 健吾(182センチ77キロ 左/左)は本格化していないが、素材としては面白みがある左腕。
オーバースローから投げ込む直球は常時125キロ前後ぐらいか。

変化球はスライダー、カーブ。速球の威力はそれほどでもないが、力みのないフォームからストレートと変化球をバランスよく投げられるのが強みだ。投球フォームはノーワインドアップから入り、徐々に腰を沈めていきながら、左肘を折り畳むにテークバックを取っていき、リリースに入る。
上半身の使い方と肘の使い方に光るものがあり、あとはトレーニングで逞しさが増していけば都内でも評判になる左腕になる可能性は大いにある。注目して見たい。

(文=高校野球情報.com編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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