試合レポート

都立桜町vs郁文館

2011.04.04

都立桜町vs郁文館 | 高校野球ドットコム

14奪三振完封の後藤(都立桜町)

桜町・後藤が14奪三振完封勝利!

都立桜町郁文館の一戦。
1回の裏に桜町は4番後藤 大輝の左中間を破る二塁打で2点を先制する。その後、試合は膠着。
山場となる7回に移る。7回の表に郁文館は無視1,2塁のチャンスを作ったが、連続三振、ライトフライで反撃のチャンスを潰すと7回の裏、桜町は1番宮崎のタイムリーで1点を追加する。キャプテンの一打で貴重な追加点を入れた桜町は、そのままエース後藤 大輝が14奪三振完封。2回戦に進出した。

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14奪三振完封勝利を挙げた後藤 大輝(176センチ68キロ 右/左 3年生)。
この男を視察するためにNPBの各球団のスカウトが詰めかけていた。あるスカウトはスピードガン、あるスカウトはビデオを構え、あるスカウトはストップウオッチを片手で彼を視察する姿には、知名度は低くても目ぼしい選手がいればしっかりと足を運んでチェックするスカウトマンの仕事ぶりを感じることができた。

後藤は全身をめいっぱい使った投球フォームから常時135キロ前後(マックス138キロ)を計測。ストレートの威力はおっと思わせるものがあり、筋の良さを感じた。
ストレートのコントロールも良く、本人も力任せにならずに8割ぐらいの力でコントロールを意識し、要所でフルの力を発揮した。
上半身と下半身をバランスよく鍛え、屋外では徹底的に走り込みを行ってきた成果が常時135キロ前後・140キロに迫るレベルにまで到達した。


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今日は後藤の独擅場だった

変化球は115キロ前後のスライダー、鋭く落ちるカーブ、緩く曲がるスローカーブ(球種は自己申告)を投げ分けて三振の山を築いた。とにかくストレートとスライダーが良く決まり、全く打たれる気配がしなかった。
しかし三振を取るということはそれだけ球数が多くなるということ。終盤になるとストレートの威力も落ちてきた。そこを狙われて7回に無死1,2塁のピンチを迎えた。しかし後藤は慌てずにストレートで連続三振。そしてライトフライに打ち取りピンチを切り抜けた。
後藤はマウンド上でぐっと握りこぶしを締めてベンチに戻った。落ち着いて自分の投球をすることができたので、ピンチになった時の心境を聞いてみた。どういう気持ちで切り抜けたか。
「仲間が声をかけてくれたので、自信を持って投げられた」
と振り返る。
都立桜町というチームはとにかく声を出すチーム。
声を出すことには負けないという気持ちが滲み出ており、7回の時は守っている野手、ベンチにいる選手たちが声をかけていた。チームが一体となって後藤を支えた。

そして打っては先制2点タイムリー。自分のバットで点をとり、自分で守った。

まさに今日は後藤の独擅場。この14奪三振の快投は多くのスカウトにとって印象に残ったはずだ。さらに飛躍を遂げることができるか注目してみたい。


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金澤 陽太(都立桜町)

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都立桜町の5番打者である金澤 陽太(中堅手 右/右 186センチ74キロ)は恵まれた体格が目に引く。
シートノックから捕手のミットにダイレクトに届く返球を見せており、肩の強さは上のレベルでもやれるレベルに達していた。打撃では右中間を破る二塁打、レフト前ヒットの2本を記録。引き手(左手)を右肩に引いてグリップを下げた構えから振りだす打球は鋭いだが、スイングが硬く、柔軟性に欠く打撃。捉えた打球には目を見張るものがあるが、今のままだと木製バットの対応は難しいタイプだ。
体格、パワー、肩の強さは上のレベルでも通用するものがありそうだが、それを活かすテクニック、バランスがまだまだこれからという印象。本人がそこを気づいて取り組むことができれば大きく化ける可能性はあるだろう。

(文=編集部:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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