試合レポート

松阪vs伊勢工

2010.09.24

2010年09月23日 伊勢市営倉田山公園野球場

松阪vs伊勢工

2010年秋の大会 第63回秋季東海地区高校野球 三重県大会 1回戦

一覧へ戻る

中川誠也(伊勢工)

注目校 vs 140キロ左腕。密かな好カードはゼロ行進の末…

筆者がこの秋に観戦したいと思っていた三重県の2校が、県大会初戦で激突。期待通りの熱戦となった。

東海地方も全般的に雨に見舞われたこの日は、愛知大会・岐阜大会はもちろん雨天順延。三重も他会場は軒並み雨天順延となったが、筆者が向かった伊勢市営倉田山公園野球場だけは、なんとか野球ができるギリギリの空模様。途中「ゲリラ豪雨」を挟んだものの、予定されていた3試合が全て実施された。

伊勢工の注目は左腕エースの中川誠也だ。夏の三重大会では背番号8ながら、チームが戦った2試合ともに先発完投。3回戦の日生二戦では、延長15回にサヨナラ負けを喫したが210球を一人で投げ抜き、熱投で注目を集めた。

角度はオーバーハンド。ストレートの走りが良い。それほど上背があるわけではないが、球が走るから三振が奪える。低めにストレートを決めて見逃し三振をとり、颯爽とベンチへ帰っていくシーンも小気味よかった。この日のスピードガンの数字は130キロ前後が多かったが、バランスのとれたブレの少ない投球フォームから、数字以上に打者の手元で伸びるボールを投げていて、さすが有望左腕だと感じさせた。自己最速は140キロを超え、制球が大きく乱れることもない。

この中川、敵の送りバントを阻止するフィールディングが素晴らしい。この日は2度二塁で封殺したが、前述の夏の大会3回戦では、終盤のピンチに3イニング連続で二塁封殺をしたことも。状況を的確に判断し、俊敏な動きで敢然と正確な送球を送れるのは非凡な証拠だ。こうしたプレーに素質の高さが表れている。


竹内諒(松阪)

試合は延長11回表の途中、「ゲリラ豪雨」により1時間以上にわたって中断。中断後は中川はマウンドに上がらず、代わった2番手・平谷大地が延長11回裏にサヨナラ打を浴び、伊勢工は無念の敗退となった。それでも、打たれたとはいえ平谷だって「速球派」と呼べそうないいストレートを投げていた。課題を挙げるとしたらフォームの確立、とくにランナーを背負ったときも堂々と投げられるようになれば。こちらも楽しみな投手だ。

勝った松阪は、背番号9の1年生左腕・竹内諒が先発を務めた。打者にとって打ちづらいのか、伊勢工打線が苦戦。うまく打たせて取るピッチングを展開した。延長11回途中にエース中川幸二の救援を仰いだが、点を許さなかった。最後は7番打者・西堀彰剛がセンター前へはじき返し、サヨナラ勝ちを収めた。
松阪は、久居農林を初の甲子園に導いた松葉健司監督が2006年4月に赴任。野球部が強くなってきたと評判で、「県大会で上位にいけば21世紀枠でのセンバツ出場も」と期待する声もある。突出した選手はいなくても、安定した守備力とチームとしてのまとまりが感じられ、この先の躍進が望めそうだ。

(文=尾関 雄一朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【富山】富山商が高岡商を破って春連覇達成<春季県大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.05.06

【大阪】大阪桐蔭が快勝!準々決勝でプロ注目・今坂幸暉擁する大阪学院大高と対戦!<春季大会>

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.01

【兵庫】報徳学園、須磨翔風などが順当に夏の第1シード獲得!昨秋ベスト4の長田、滝川二はノーシードに

2024.05.01

【福島】聖光学院と福島商が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>