試合レポート

王寺工vs御所実

2010.07.21

2010年07月19日　佐藤薬品スタジアム　

王子工vs御所実

2010年夏の大会　第92回奈良大会 2回戦

遊撃手・山崎(王子工)

王寺工の守備力。

　めったにお目にかかれないプレーを見た。
ノーヒットノーランやサイクルヒットなどの記録ではない。二塁けん制のトリックプレー。遊撃手が一度、走者の視界に入ったかと思うと、反転してセカンドベースへ入るのだ。決めたのは機敏な動きを見せた王寺工・山崎である。
「（エースの）桑原のお父さんから教えてもらったんですけど、春季大会が終わってからやってみようと、取り組んだんです。練習試合でやるとほとんどアウトになるので、自信を持ってやりました」。

走者からするとたまらない。そこにいたはずの遊撃手が消えたかと思うと、次の瞬間にはけん制アウトになっているのだから。このけん制について、山崎が説明してくれた。
「セカンド付近からランナーの後ろ少し横まで一端、走って、そこから選手を追い越した後、背中を向けて反転するんです。ランナーからすると、どこにったか見えないし、ランナーコーチもなんて指示していいか分かんないんで、ランナーをだませるんです」。

　この日の先発はエースの桑原ではなかったのだが、それでも根木との絶妙なコンビネーションを見せた。「最初は反転するんで、目が回って、ベースがどこにあるか分からなくなった時もあったんですけど、もう大丈夫です。これからも決めて行きたいです」と山崎は笑顔を見せた。

　王寺工と言えば、本格派右腕のエース桑原が注目されているのだが、腰椎の分離症が原因で今は万全の状態ではない。しかし、山崎は「去年の秋も、今年の春も桑原に頼ってきたので、今度は僕らが桑原を助ける番です。（次対戦する）天理とはずっとやりたかったんで、早く試合がしたい」と意欲十分に話す。

　トリックプレーができるということは、それだけに守備の強化を図ってきたということだ。ここ１０数年で一番の打線とも呼び声の高い天理打線を、王寺工の守備網がどう防ぐか、次戦が楽しみである。

（文＝氏原英明）

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