試合レポート

習志野vs八千代

2010.04.24

2010年04月24日 千葉県野球場

習志野vs八千代

2010年春季千葉県大会 県大会 1回戦

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泉澤(成田)

習志野が八千代を振り切り、2回戦に進出!

 八千代 高校が先攻で試合が始まったこの試合。習志野の先発はエースの高橋亮太(3年)ではなく、泉澤 涼太(2年)。均整の取れた体格から投げ込む直球は130キロ前半ぐらいだろうか。数球見ただけで、素質が違うと感じさせてくれる投手である。泉澤は遠投打者にヒットを許すが、後続を抑えて無失点。

 対する 八千代 の先発は花澤翼(3年)。花澤は長身から振り下ろすストレートとカーブが武器の右投手だ。習志野打線は花澤に襲い掛かり、1番の本山 貴士(3年)がショートの内野安打を打って、先頭打者から出塁する。しかし2番渡邊 哲(3年)がショートライナーに本山が飛び出し、ツーアウトとなってしまう。だが、習志野は3番宮内 和也(2年)の四球、4番山下 斐紹(3年)のセンター前ヒットで、1,3塁とすると、5番福田 将義(3年)が右中間を破るスリーベースを放ち、2点を先制。さらに6番早野 凌太(3年)のレフト前タイムリーで1点を追加し、3-0とする。

 さらに4回の裏、先頭の水野 聡(3年)がレフト前ヒットで出塁。ツーアウト三塁となって、1番の本山がセンター前ヒットで1点を追加し、3番宮内のレフトオーバーのツーベースで1点を追加し、5-0とする。習志野先発の泉澤は5回まで被安打3、奪三振5の好投を演じる。

 6回の表、ここで 八千代 ベンチは一気に活気付く。この活気ぶりにスタンドのファンは 八千代 ベンチに目を向けた。その勢いに推されるかのように1番の神宮 孝史(3年)がセンター前ヒットを放ち、ノーアウトからランナーが出塁する。その後ツーアウト1,2塁となって、ここまで2安打を放っている安永 駿(3年)。安永は2-1からの4球目。甘く入った直球を捉えた打球はセンター前へ。 八千代 が1点を返す。活気付く 八千代 ベンチと 八千代 応援団。しかし後続が抑えられて、1点止まり。

1点を取られた泉澤だが、その後は安定した投球で、無失点に抑えていく。 八千代 は5回から登板したエースの佐藤 廉(3年・右投げ)が好投。スピードは決してないが、キレのあるストレート、スライダー、カーブを混ぜて5回以降、習志野打線を無失点に抑える好投を見せる。
 そして9回の表。泉澤は縦のスライダーを中心とした組み立てで、三者連続三振に斬ってとり、 八千代 を振り切り、2回戦に進出した。習志野千葉明徳 と対戦する。

この試合、習志野の雑な攻めが目立った。初回のライナーゲッツーはヒットエンドランの可能性もあったので、仕方ないが、3回の裏、福田が盗塁失敗。4回の裏には一塁走者がレフト線の長打に一気にホームへ突入し、アウト。次が4番の山下だけに無理する必要もあった。その後もちぐはぐな攻めがあり、習志野らしくない野球であった。今日の失敗を反省して、明日につなげたいところだ。
その中で光ったのは泉澤の好投であった。均整の取れた体格は恐らく180センチを超えているのだろうか。切れのある直球とマウンドでの存在感は06年エースの佐々木啓祐(現中央大)を彷彿させる。佐々木も140キロ近いストレートに、120キロ台の高速スライダーを武器にする本格派投手であったが、泉澤は佐々木クラスに育つ投手になるかもしれない。彼が佐々木同等、それを超える投手になるには今まで以上に練習を取り組むことが大事になるだろう。完投勝利したことで自信を深めたはず。このまま大きく育って欲しい。

八千代 は6回からまるで別のチームだった。6回からベンチが声を出すようになり、やや習志野に押されがちであったが、それに屈せず自分たちの野球ができていた。そして5番安永のタイムリーは自分たちの力でもぎとった証である。名前があるチームに負けないためには、まずは気迫を出し、自分たちの鼓舞すること。そして自分たちの野球をすること。これができていれば、たとえ強豪校であっても大抵の場合は戦える。強豪校は勝って当然のプレッシャーの中で戦うわけだから、綻びが出てくる。それを逃さず、戦うことができるか。それができたチームは気付いたときに勝っているものである。だが野球というのはあと一歩まではよくあっても、そこから一線を超えるのが非常に難しいものなのだ。 八千代 に期待したいことは、この敗戦を善戦と満足したまま終わらないで、自分たちでも戦えるということを理解して、夏まで高い意識で練習に臨めることができるか。その答えは夏に分かるだろう。

(文=編集部 河嶋 宗一)
(写真=国吉辰一)


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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