智辯学園vs高円
高円は智辯相手に精一杯戦った。
智辯学園が2回戦進出!
高校野球はいろいろ楽しめる。
どこが優勝チームかを見つけていくのも面白いし、逸材を追いかけるのもいい、1試合の熱いドラマを見るのもいい、球児の一生懸命な姿も心を打つ。
第2試合は 高円 と 智辯学園という、実力差も、方向性もまったく正反対にいるチームが対戦した。
高円 は、大会があるごとに部員不足に嘆く。一方、智辯学園は県内外の有望選手を、豊富な練習量で、鍛え上げ、強豪校の位置を築いてきたチームだ。
逸材を追いかけたい人ならば、きょうの智辯学園の戦いには痺れるものがあっただろう。1イニング2本塁打のきょうの智辯学園は見るべきものが多かった。
しかし、 高円 の一生懸命ひた向きにやる姿も、また、見事である。確かに、技術力は明らかに劣っているが、自分のできるプレイを出しつくしているそんな姿勢が随所に見られたからだ。
試合は、智辯学園が1回裏に2番・辻、5番・岩本による、2本の本塁打などで6点を先取。試合の大勢を決めた。2回に5点を奪い、勝負は決した。
とはいえ、 高円 のひたむきな姿勢は最初から最後まで衰えなかった。自分たちのできることを精一杯やり遂げた姿だった。ここは見習いたい。
私見であるが、僕は高校野球、特に夏の大会であるすべき姿とはどういうものか、こう思っている。それは強豪であれ、弱小であれ、同じである。
夏の大会において、勝つのは1校しかない。つまり、ほとんどの学校が負けていくわけだけれど、ここで優勝したからといって、人生すべてがうまくいくわけではない。
ここでの結果だけが、人生の成功者であることを示しているかというと、決してそうではない。
だから、甲子園出場がかなわなかったとしても、球児にとっては、結果がどうであれ、意味のある夏になるはずなのだ。
ホームプレートに並んだ時、
「相手を倒してやる!!」ではなくて、「やってきたことをぶつける」。
心の底から「お願いします」
こう思えただけで、成功者だと思うのだ。
高円 の試合前後の整列にはそうした気持ちが感じられた。 高円 は3回表、一矢を報いている。2死から1番の辻内が三塁打で出塁し、2番・米倉が適時打を放った。強豪・智辯学園からもぎ取ったたった1点には、人生に大切なものが凝縮されているのではないだろうか。
(文=氏原英明)
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高円 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||||||||||
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智辯学園 | 6 | 5 | 0 | 0 | X | 11 |
高円 高橋 ― 林 智辯学園 上村、元谷―稲垣
本塁打=辻、岩本(智)三塁打=辻内(高)二塁打=高橋(高)