ハードな練習とインフルエンザ
練習後や帰宅後は必ず手を洗おう。感染経路を遮断することでインフルエンザを予防しよう。
日頃からハードな練習、トレーニングを積み重ねている選手にとって、疲労が蓄積されると身体の免疫力も次第に低下していきます。免疫力とは外から侵入する細菌やウイルス、体内で発生する悪性細胞などへの自己防衛システムがしっかり機能しているかどうかを指し、免疫力が低下してしまうとこうした自己防衛システムが破綻して体調を崩すことになります。「アスリートは風邪をひきやすい」ということを聞いたことがあるかもしれません。激しい運動と疲労回復のバランスが崩れてしまうと免疫力が低下して、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなることが考えられます。選手によってはよく風邪をひく人、あまり風邪をひかない人がいると思いますが、これは身体の免疫力が低下している状態かどうかによっても左右されると言えるでしょう。
空気が乾燥し、気温が低くなる時期は、「高温・多湿」を嫌うインフルエンザウイルスにとって、活動しやすい時期です。感染症を予防するためには、免疫力を高めることともに、病原体そのものと接触しないことや、ウイルスが侵入する感染経路を遮断することなどが挙げられます。接触を防ぐためにマスクを着用したり、人の多いところへの外出を控えたりといったことや、感染している人を隔離して接触しないようにするといったことになりますが、病原体は目に見える大きさではないため、対応そのものが難しいこともあります。
練習後などに一番取り組みやすいのが感染経路の遮断です。感染経路には、咳やくしゃみによる「飛沫感染」、空気中の病原体を吸い込む「空気感染」、食べものなどから感染する「経口感染」、感染している人が触れたものに別の人が接触する「接触感染」の4つの経路が考えられます。習慣として「手洗い」「うがい」を行うことは、主に病原体が感染経路から体内に入ることを予防する効果があります。またマスクは病原体が体内に入らないようにするだけではなく、感染の疑いがある場合に病原体を拡散させないことにつながります(他人に感染させない)。
練習を積み重ねることはパフォーマンスアップに大切ですが、疲労の蓄積によって個人のもつ体力レベルが低下し、免疫力を下げるようなことになってしまうと感染症にかかりやすくなってしまいます。「練習(トレーニング)」「栄養(食事)」「休養(睡眠)」のバランスが極端に偏らないように気をつけて、免疫力を下げないようにコンディションを整えることが、インフルエンザなどの感染症を予防することにつながることを覚えておきましょう。
文:西村 典子
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