東大出身監督が率いる城東の戦いぶりに注目
東大出身監督が率いる城東の戦いぶりに注目
池上 茂監督(都立城東)
先日発表された、第40回日米大学野球の日本代表メンバーの一人として、東京大の宮台康平投手(3年・湘南)が選出されたことで話題になっている。東大からの日米野球の日本代表は33年ぶりということである。
それでは33年前は誰が選出されていたのかというと、NHKの「ニュースウォッチ9」のキャスターを務めたことで広く知られた大越 健介氏であった。その大越キャスターと、東大で1年上だったのが、好投手関根智輝君(関連記事)を擁して秋春と東京都大会でベスト8に進出して注目を浴びている都立城東の池上 茂監督である。池上監督は英語科教員でもあるが、都立武蔵から都立城東に異動して赴任3年目で、昨年秋季大会後に前任の平岩 了監督(現豊多摩)の異動を受けて就任した形だ。国立で部長を務めていた時代には、西東京大会ベスト4に導いたこともある。
「たまたま関根がいて好成績を残すことが出来ていますが、私は取り立てて、何もしないで、選手たちの邪魔をしないようにと思っています」とはいうものの、選手の特徴やクセを見つけて、ワンポイントのアドバイスは無駄がない。選手たちが自主的に動いていかれるように、考える姿勢を与えている。このあたりは、「野球は、体力だけの競技ではない」という知恵と工夫で六大学の他の強豪と伍して戦っていく東大野球のエッセンスも十分に注がれているということであろう。
高校野球の監督としては、東大出身者というのは非常に珍しい。ことに、都立校の場合はあまり記憶にないくらいだ。
東京都で東大出身の高校野球指導者としては、開成の青木 秀憲監督がいる。過去に同校野球部についての単行本が刊行されたことで、一躍知られてしまったが、青木監督は東京六大学野球連盟では審判員も務めるほどで野球漬けでもある。
また、駿台学園の三角 裕部長は、後任の川口 将司監督に譲ったものの、一昨年までは監督を務めていた。埼玉県の伊奈学園でも監督を務めていたが、その折にはセンバツ出場も果たしている。東大の監督も務め、在任中には女性投手の竹本 恵も在籍していた。明治大の小林 千尋との六大学野球史上初の女性投手同士の対決にも関わっていた。
いずれにしても、宮台投手の登場によって、にわかに脚光を浴びる東大野球だが、その先輩でもある池上監督がこの夏都立城東を率いてどこまで勝ち上がっていくのか…。都立校の躍進だけでも盛り上がるが、東大出身監督が率いるとなると、さらに話題は増していくことは間違いないだろう。
(文・手束 仁)
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