テキサス・レンジャーズ 冨田 康祐投手 「憧れ続けたマウンドを目指して」
独立リーグから横浜DeNAベイスターズに入団し、昨年末の12球団トライアウトを経てテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結ぶこととなった冨田 康祐投手。冨田投手がDeNA在籍中に参加したウィンターリーグのお話や、今後の意気込みを聞かせていただきました!
横浜DeNAからテキサス・レンジャーズへ
冨田 康祐投手(テキサス・レンジャーズ)
中学生の頃から、朝放送されているメジャーリーグの試合を学校に行くまで見ていた冨田投手。その頃から、「何となく」の憧れはあった。なぜ、中学時代から「アメリカ」に興味を持ったのか。
「中学時代は漠然としたものでした。プロ野球で一流の人たちがメジャーに行って、『毎日球場に行くのが楽しくなった』というコメントをよく目にしては、『その良さは何なんだろう、自分で見たい』と思うようになりました」
野球のレベルの高さは勿論、日本の一流選手たちがそう口を揃えることに、何か違うものを感じたようだ。
海外でのプレー経験は、DeNA時代に球団に志願して参加したプエルトリコでのウィンターリーグがある。
「ちょうどWBCの前だったので、メジャーリーグの選手も結構来ていました。そこでの対戦が自信にもなっていますね。昨年末の日米野球で来日していた、ヤシエル・プイグ選手(ドジャース)とも対戦し、三振を取ったんです。リーグ参戦中に凄く良い言葉もかけていただきました」
実際に海外で活躍する選手との対戦経験が、冨田投手を更に「アメリカに行ってみたい」という気持ちに駆り立てた。
「リーグに参加していた当時、『凄くスピードも早いしフォークも良いから、お前打ちにくいとか、フォーク投げてくんなよ』と現在メジャーリーグに昇格して活躍をしている選手が言ってくれました。コーチからは『お前は絶対メジャーでやれる力がある、ビッグリーグに行ける力があると俺は思う』と言われた。その言葉を励みに日本でもプレーをすることができました」
日本での試合は主に中継ぎであった冨田選手に対して、海外の選手やコーチからは、「スライダーがあってフォークがあってカーブ、ツーシームがあったら先発でもいけるんじゃないか」という評価をもらったそうだ。日本に帰国後、オープン戦で1軍に帯同させてもらった際に、ラミレス選手が同じことを言ってくれたそう。
「外国の選手から見ると、そういう風にも受け取ってもらえるんだということが嬉しくて。海外だともっと広い視野で見てもらえるのかなあと思えました」
このプエルトリコでのウィンターリーグ参加で多くのものを得た冨田投手だが、NPBに在籍していた3年間では何を得たのだろう。
「育成で1年半、支配下になって1年半。プロの世界に入って、いろいろな先輩のお話を聞いて、そこから得るものが多かったですね。1試合だけ1軍で投げさせてもらったんですが、その1回きりのチャンスを生かせなかったことが凄く悔しいです。『掴むチャンスを絶対に離してはいけない』ことを学びました」
憧れのMLBの舞台で夢を叶えるために
冨田 康祐投手(テキサス・レンジャーズ)
12球団合同トライアウトを経て、テキサス・レンジャーズからチャンスが舞い込んだ。
「嬉しかったですね!ずっとアメリカに行きたかったのと、年齢的にもこれが最後のチャンスだろうなと思っていたので。『今年アメリカに行きたい』というのが凄くありました。だからお話をいただいた時は凄く嬉しかったです。
(日本とアメリカとでは)ボールが違うことによって、投球もいろいろ変わってくると思うので、その辺はしっかりと対応して、新しい自分を築き上げていけたらなと思っています。今のスタイルを見て評価をしてもらっていますが、それだけでは通用しないと思っているので、そこから更にいろいろとプレーの幅を広げていったり、自分の特性を磨いていきたいです」
現在、テキサス・レンジャーズにはダルビッシュ 有投手が在籍する。同じ投手として聞いてみたいことは、
「日本ハムからベイスターズに移籍してきた選手がいて、ダルビッシュさんのお話を聞きました。その話を聞いていると、野球のことや、ピッチングのこと、栄養のことやトレーニングのことと、知識の深さを感じました。とにかく聞けることは何でも聞いてみたいです!」
海外で野球をすることで、外国人選手とのコミュニケーションに関しての不安を尋ねると、
「ウィンターリーグに参加していた頃は、朝の挨拶とかでも「Hey、Good morning!」という感じでハイタッチをしていたら、だんだん仲良くなっていました。それで、全然できない英語がちょっとずつ喋れるようになって、喋りかけたら向こうがバーっと話してくるんですけど、もう分からない(笑)。 向こうの選手は明るいですし、外国人とコミュニケーションを取るのは結構好きというか、多かったですね」
とても心強い返事が返ってきた。
四国アイランドリーグからNPB、そしてアメリカへとプレーの場を移す冨田投手。アメリカでは、どのようなことを思い描いているのだろうか。
「メジャーって言うのは簡単ですが、そこまでの道のりが険しいと思うので。選手もいっぱいいますし、同じように速い球を投げるピッチャーも多いと思うんです。でもその中で自分の特性を生かして自分の立場を築きたいし、しっかりと自分のポジションを勝ち取れるような選手になっていきたいです」
中学時代からの憧れを、叶える時がきた。
「MLBの舞台に立ちたいと思って、ずっと野球をやってきたんで、そこでしっかり投げるまでは簡単には辞められない。夢語っているだけじゃダメなので、実現させたいです!」
ウィンターリーグで好投した最終戦での、スタンドからのスタンディングオベーション。次はメジャーリーグの大舞台で、もう一度見たい。