Interview

大和広陵 立田 将太×向谷 拓巳 バッテリー対談 後編「意思疎通のスタートはキャッチボールから」

2014.12.17

 立田 将太投手の強い推薦で、外野手から捕手に転向した向谷 拓巳選手。少しでも関係を深めようと、打撃練習を削ってでも、立田投手と接することを決めました。しかし2年生の間は、なかなか呼吸が合わずに終わりました。そんな中、2人はどうやって、呼吸が合うようになったのか。バッテリーとして必要なコミュニケーション術を探っていきます。

息が合ったきっかけは冬でのブルペン投球

――冬の間は対外試合は禁止ですが、息を合わすために、どのような練習をおこなったのですか?

立田 将太選手(以下「立田」) ブルペンで状況やバッターを仮想しながら、サインを1球1球出しての投球練習をやりましたね。試合中と違って、なにか思うところがあったら、投球練習を中断してすぐにお互いに歩み寄って、話し合えるので。これを繰り返していく中でサインがどんどん合うようになっていきました。

向谷 拓巳選手(以下「向谷」) やはり首を振る回数が減ると、投球のリズムも自然とよくなるので。お互いの意見を合わせていくことの大事さをあらためて痛感しました。

――キャッチャーがピッチャーをリードする際、「ピッチャーのいいところを生かすことを優先する」考え方と「相手の弱点を突いていくことを優先する」考え方、大きく二つにわけることができると思うのですが、向谷選手はどちらの考え方を軸にサインを出していたのですか?

向谷 ぼくは立田を基準にサインを出すほうが圧倒的に多かったですね。相手打者の得意なところにボールが行っても、立田の本来のボールがくれば打たれることはないという発想で配球を組むことが多かった。

――リードしていても気持ちよかったのではないですか? 相手の得意ゾーンに行っても、力でねじ伏せる投球が展開できると。

向谷 そうですね。気持ちよかったです!

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意思疎通のスタートはキャッチボールから!

岡本和真選手(智辯学園)と言葉をかわす立田将太選手(大和広陵)【平成26年度春季奈良県大会 準決勝】

――今年の奈良大会の準決勝で、県内のライバルだった智辯学園の主砲の岡本 和真選手(読売ジャイアンツドラフト1位)を打席に迎えても果敢にインコースを攻めてましたものね。

立田 「攻める!」が合言葉でしたね。

向谷 そうやね。

――逃げない投球でした。

立田 変化球は見せ球にして、あくまでも勝負はインコースの真っすぐで。

――あれだけの強打者。サインを出していて怖さはなかったですか?

向谷 いえ、きちんと立田本来のボールが来たらそうそう打たれないだろうと。コントロールがよく、失投がほとんどないので、結構安心してインコースを攻めていました。

――読者の球児たちにバッテリーのコミュニケーション力を上げるためのアドバイスをいただけないでしょうか。

立田 やはりある程度数をこなす必要はあると思います。そういう意味ではキャッチボールの段階からずっと一緒にペアを組むことは大事ですね。

向谷 キャッチボールの段階から「あれ?今日はやたらシュート回転するな。昨日よりも体がちょっと早く開いてるからだな。ここはあとで伝えよう」とか、「こういうフォームの時は、こういう球筋になるのか」といった具合に、ちょっとした変化も気づけるようになっていくし、新たな発見も生まれる。キャッチボールからペアを組むことは、コミュニケーション力を上げていくための絶対条件だと思いますね。

立田 そして日々接する中で、言いたいこと、感じたことがあれば、きちんと相手に伝える。

向谷 ぶつかることを恐れず、正直に言い合うことですね。

立田 息を合わせる練習方法としては、さっき話したブルペンでサインを出し合いながら、意見をその都度交換するやり方はお薦めです。

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2人の今後の抱負

左から立田将太投手 向谷拓巳捕手(大和広陵)

――最後に今後の抱負をお聞かせください。

立田 日本ハムに6位で指名され、念願のプロの世界に飛び込む夢は叶いましたが、今の自分ではプロで通用する技術には達していない。一年目はまずしっかりとプロの体を作り、ケガをしない土台をしっかりと備えながら、一軍で通用する技術をしっかり磨いていきたいと思います。

向谷 ぼくは独立リーグの兵庫ブルーサンダースで野球を続けながら、プロへの夢を追い続けます。今の段階ではキャッチャーではなく、内野を守る可能性が高いのですが、いずれ、立田と同じ世界で戦えるように頑張っていきたいと思います。

立田 ぜひ同じ世界でやりたいですね。

向谷 自分がボールを受けていたピッチャーがプロにいくなんてなかなかできない経験。彼には早く一軍に上がってほしいし、自分もプロで通用する力をしっかりとつけたいと思います。

――今日はありがとうございました。今後のお二人の活躍を楽しみにしています!

 プロ注目投手の立田投手の推薦により、スタートした立田×向谷のバッテリー。なかなか息が合わない時期があっても、2人は投球練習で自分の意見を伝えながら、距離を縮めていきました。大学以上のステージは自己主張をはっきりしなければ生き残れない世界。試行錯誤をしながら、コミュニケーションを深めていった2人の取り組みは大きな経験になるでしょう。

(インタビュー・服部 健太郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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