【大学準硬式】準決勝 大阪教育大 vs 日本福祉大
大阪教育大が決勝進出!将来は教員の道へ、教育実習でいない仲間のために飛ばした犠牲フライ
<清瀬杯第55回全日本大学選抜準硬式野球大会:大阪教育大1ー0日本福祉大(延長10回)>◇4日◇準決勝◇石川県立野球場
大学準硬式の日本一を目指す清瀬杯第55回全日本大学選抜準硬式野球大会。準決勝2試合目は延長10回の死闘の末に、大阪教育大がサヨナラ勝ちを収めた。
10回を戦って2時間17分の投手戦は、まさに準決勝にふさわしい一戦。両チームが投手陣を中心にピンチを防ぎ続け、手に汗握る好ゲームを演じた。
終止符を打ったのは、5番・奥野 辰樹内野手(高津出身)だった。
延長10回、3番・松尾 知弥外野手(八尾出身)のヒットなどで無死二、三塁のチャンスを作ったところで、「返さないといけない」と意気込んだ高野が、4球目の直球を捉えた。会心の当たりではなく「かなり浅いと思いました」という右翼へのフライだったが、三塁ランナーがスタートを切り、間一髪で滑りこんでホームに生還。日本福祉大との投手戦を制した。
準々決勝・花園大との試合でも、決勝打を放った奥野。連日のヒーローだが、「打ちたい、活躍したい」と自身にプレッシャーをかけ過ぎてしまい、バットの振り出しがいまいちだという。鋭いスイングで長打を出すために、普段の練習から振り出しを意識しているからこそ悩んでいるようだが、仲間を思う気持ちがあるからだ。
今大会、大阪教育大はベストメンバーを組めていない。数人が教育実習に参加している都合、ベストメンバーではない。奥野もおよそ2週間後から小学校の教育実習が予定されており、準備に追われている立場だという。
大会に出たくても出られないチームメートがいるから、奥野は「打ちたい、活躍したい」と強く思い、連日のヒーローになっている。
将来、学校の先生になるために大阪教育大へ進学。2年生の時には実習があるなど、普通の大学生に比べると、教員になるのは簡単ではない。その合間にアルバイト、そしてチームの練習と、普段は多忙な毎日を送っている。大変な思いをすることもあるが、「野球ができるから楽しいです」と笑顔で話す。
野球だけではなく、勉強やアルバイトも両立できる。大学準硬式ならではの世界だからこそ実現できる世界を、最大限楽しんでいることが、その笑顔から伝わってきた。決勝戦でも同じように笑顔を見せてくれるか。
東邦の控え投手が大学準硬式で飛躍!185センチの長身左腕を支える恩師の教え
<清瀬杯第55回全日本大学選抜準硬式野球大会:大阪教育大1ー0日本福祉大(延長10回)>◇4日◇準決勝◇石川県立野球場
大阪教育大との投手戦の末、サヨナラ負けを喫した日本福祉大。惜しくも決勝進出を逃し、ベスト4で大会を去った。
「頼りになる先輩たちばかりでした」
サヨナラの瞬間、一塁ベース付近で先輩たちを思い、涙を流し続けた3年生・佐藤 龍人投手(東邦出身)。9回96球を投げて被安打6、奪三振5つと先発投手として十分な役割だった。
2番手での登板予定だったが、投手陣の都合も考えて自ら志願で先発マウンドへ。連戦によるハリはあったものの、185センチ、88キロの恵まれた体格を上手く使い、最速135キロの直球などを投じて、大阪教育大打線を封じた。
東邦時代、控え投手だった佐藤は、活躍の場を求めて大学準硬式を選択したが、現在に至った裏には恩師・木下達生コーチの存在があった。
元プロ野球選手である木下コーチからフィールディングやテンポよくストライクを取ることの重要性を教わっていた。その一環で、「これがプロのレベルのスライダーだ」と変化球のアドバイスももらった。
当時は習得しようとしたものの「完成しなかった」と中途半端なまま高校野球を終えた。
その後、大学準硬式に舞台が移ったが、最速135キロの直球が通じず、壁にぶつかっていた。そのときに、未完成だったスライダーのことを思い出し、マスターするためキャッチボールから練習をし続けた。
すると、1年生の秋ごろには「上からたたく感覚でリリースすることで使えるようになった」と、習得に至った。
現在はカットボールのイメージで投げ「カウントを取ったり、ゴロを打たせたり、空振りを奪ったりできている」と自身にとって最大の武器になった。大阪教育大との試合でも恩師から教わったカットボールが炸裂。試合には敗れたが、全国区でも実力は十分通じた。
「リベンジしたいですね」と最後は悔しさをにじませる一言を残した。大型左腕のこれからに期待したい。