試合レポート

西武文理vs南稜

2015.04.27

後半勝負!西武文理が南稜の好投手・横山を打ち崩しベスト16!

好投を見せた横山(南稜)

 勝敗ははっきりとしたが、お互い随所に持ち味に出た試合だったのではないだろうか。
 埼玉の県立では私学の強豪校を脅かす存在の南稜と近年、躍進が目覚ましい西武文理の対決だ。

 南稜の先発・横山尚輝(3年)。球速表示以上に伸びのあるストレートを投げられるのが強み。ワインドアップから始動し、ゆったりと左足を上げていき、右足はしっかりと立って、少しずつ体を沈み込みさせながら、着地し、内回りのテイクバックをしてから、一気にリリースに入る。特にテイクバックを取ってからリリースに入るまでの動作がほかの投手に比べて速い。いわゆるムチをしならせるようなイメージで鋭い腕の振りを見せる。

 球速は、常時130キロ~135キロを計測。彼と同じくらいストレートのスピードを記録する投手は多くいるが、手元までの勢いが全く落ちず、まさに伸びのあるストレートと表現できるものだ。
 西武文理の刀川監督は、
「横山君は本当にストレートが素晴らしく、うちの打者はほとんど差し込まれていましたね」と敵将も認めるほどの、球威であった。だが思わぬ形で失点してしまうのが野球の怖さ。

 2回表、西武文理は4番栗林潤(3年)の右前安打、5番馬場 翔大(2年)の死球で無死一、二塁のチャンスを通ると、6番前田夏輝(2年)の犠打で一死二、三塁のチャンスを作ると、7番岩上 大智(3年)の場面で、バッテリーミスで西武文理が1点を先制すると、さらに岩上の犠飛で2対0とする。
2回裏、南稜は5番小暮魁(3年)の中前安打で、二盗を決めると、二死二塁から8番清水彰人(3年)の右越え適時二塁打で、2対1と1点差に迫る。

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

先発・廣瀬秀太(西武文理)

 その後は膠着状態が続き、8回表、西武文理は無死から9番廣瀬秀大(3年)が中前安打で出塁すると、1番宮田 一真(2年)の犠打で一二塁となって、2番猪鼻優哉(3年)の死球で一死一、二塁とすると、3番大塚雄稀(3年)の右前適時打で1点を追加すると、さらに4番栗林の適時打で4対1とする。この時は序盤に比べると、やや勢いは落ちていた。刀川監督は最後まで差し込まれたままと語っていたが、若干球威が落ちたからこそヒットになった当たりも多かった。

 投げては先発・廣瀬が好投。右サイドからストレート、独特な曲りをするスライダーを交えて、南陵打線に7回以降、無安打に抑える投球で1失点完投勝利。

「よく投げてくれました」と刀川監督も廣瀬の投球をねぎらった。試合後、「非常に苦しい試合でした」と刀川監督が語るように、南稜は横山の好投。さらに加えて、足を絡ませたり、打撃も1点だけに終わったが、スイングが鋭い打者も多く、決して悪いチームではなかった。両チームとも、夏へ向けて注目チームに入るのは間違いない。

(文=河嶋宗一

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得