試合レポート

日大藤沢vs藤沢翔陵

2013.04.22

日大藤沢vs藤沢翔陵 | 高校野球ドットコム 

二番手・島田(藤沢翔陵)

夏に繋がる投手起用

午前中は雨が降り続いた神奈川県だが、午後に雨がやみ、試合時間を遅らせての開催。[stadium]川崎市等々力球場[/stadium]は13時に試合開始となった。日大藤沢藤沢翔陵の対決。日大藤沢は昨夏ベスト4に進出。小坂井 智朗、ショートストップ・金子 一輝を中心に実力ある選手が揃った好チーム。藤沢翔陵は元ロッテの川俣監督が率いる。

1回表、阿部が一、二塁間を破る安打。一死一塁から3番小坂井が左中間を破る長打で、一気に2番の阿部が生還し日大藤沢が先制。その後、6番萩原のセンター前タイムリーで1点を追加。2回表には二死一、二塁から3番小坂井がライトフェンス直撃の三塁打で二者が生還。4番金子もレフト前タイムリーを放ち、5対0とする。ここまでは日大藤沢が押している展開。3回以降からは違った意味で、面白い試合となる。

 

藤沢翔陵の先発左腕・信定は2回で降板。3回から投げた島田は小柄だが、オーバーハンドから勢い良く振り下ろす右の本格派。力のある速球で、3回1失点で島田は降板した。このまま彼が投げていてもおかしくはないが、すぱっと代えた。6回からの左腕の中西が登板。1イニングの登板でしっかりと無失点に抑えた。7回からは右腕・森澤。森澤は8回二死まで投げて、3番小坂井を迎えた所で、右サイドの大島登場。小坂井を一ゴロに打ち取って無失点に抑える。9回は右投手の山村が登板。7番田畑の適時打で1点を失ったが、1失点にとどめた。藤沢翔陵は計6投手を登板させたのだ。

公式戦で6投手が登板したのは見たことがない。神奈川は春季、秋季ともに25人のベンチ入りが認められる。6人を使うことは夏では無いケースだろう。藤沢翔陵は3回戦に勝利したことで、シード権獲得が決まっている。それ以上目指すことも大事だが、ゲームスタイルはチームそれぞれである。夏のためにいろいろな投手を経験させることは有りだと考える。日大藤沢という強豪チーム。さらに3番小坂井、4番金子を軸とした能力の高い打者と対戦出来る機会はそうそうない。うまい起用法だと思う。3回以降、島田、山村が失点してしまったが、それは今後の課題として修正しておけばいいだろう。すでに夏に向けてチーム内で争いが起こっていると感じた。


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先発・辻川(日大藤沢)

一方で日大藤沢も3投手が登板した。日大藤沢藤沢翔陵ほど意図があるわけではないと思うが、3投手とも実力差はそれほどなく、夏でも公式戦の登板が予想される3人だろう。先発の辻川は体を沈み込ませて勢い良く振り下ろす本格派右腕。球速的には130キロ~135キロ前後は出ていそうで、ボール自体は4月14日に見た立川 慎湘南学院)とあまり変わりなかった。スライダー、フォークを織り交ぜる投球。4回裏に藤沢翔陵の3番志村の本塁打されたが、後続を締めて5回1失点に抑えた。

6回から登板した松原は去年の池田 建人を彷彿とさせる左腕で、ボールの勢い自体は2年時の池田とそれほど変わりないように感じた。スライダー、カーブを投げ分け、2回無失点。ワインドアップから沈み込ませて、上体を鋭く振り、藤浪 晋太郎のように首を大きく振るフォロスルーで、体の力を伝える投球フォームで、いずれは140キロが狙える投手と感じた。8回から登板した3番手の木村は右投手。左足を二塁方向へ送り込む際に一瞬タメを作る動作を行い投げ込む投手で、それによってタイミングを外し、そして勢いのある直球を投げる狙いがある。どの投手も個性的で面白かった。

ベスト8入りを果たした日大藤沢。投手陣だけではなく、野手陣も上位打線だけではなく、下位打線も当たっており、切れ目ない打線になってきている。次なる相手は昨夏に初戦で激突した武相と対戦だ。

敗れた藤沢翔陵。敗退したが、夏に繋がる投手起用だったといえる。夏まで6投手で、激しい競争を行い、競争を勝ち抜いた投手がマウンドに登り、勝利を導くようなエースが出てくるか注目したい。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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