試合レポート

国府台vs浦安

2013.04.11

国府台vs浦安 | 高校野球ドットコム 

三塁打して「よっしゃ」という表情の国府台・湯浅君

ここ一番、好機に頼れる好打者が期待に応えて国府台が接戦を制す

 取って取られて、取られて取って…、そんな展開の試合。最後に、ここ一番の好機で長打の出た国府台浦安を突き放して代表決定戦へ進出を決めた。

個々の技術という点では、浦安の方が1枚上だったのだが、スコアとしては最終的には国府台が上回った。こういうところに、改めて野球という競技の妙味を感じさせてくれた試合でもあった。そんな味わいもある点の取り合いだった。

「1+1+1=3」こうした、地道な足し算の繰り返しのような国府台に対して、個々の能力としては「2」や「3」の選手がいた浦安だったが、「2×1×1=2」で「1+1+1=3」に勝てない。そんな理屈ではないけれども、そんなことを思わせるような、国府台のひたむきさと粘り強さだった。

3年前のこの大会ではベスト4に進出の快進撃を果たして、これで一躍注目校となった浦安である。

そんなこともあって、そこに憧れて入学してきたことも確かであろう。部員も増加して2、3年生だけで51人に膨れ上がっている。大塚知久監督は、いみじくもそんなことを指摘していた。「数ばかり多くなってしまっても、チームになっていませんねぇ」と、反省しきりだった。

そして、「一次予選は勝てるだろうなんて、自惚れていた気持ちが出たんじゃないですか。相手は、ひたむきでいいチームでしたから、8回に満塁で1番の子に回ってきたところで、これはダメだなと思いましたが、案の定やられました」と、試合の流れも後手後手に行ってしまっていたことを指摘した。


国府台vs浦安 | 高校野球ドットコム 

国府台・高橋君

 大塚監督の言うように、国府台は1番湯浅君がキーマンとなっていたが、同点で迎えた8回、二死満塁でここしかないというところで、左中間に走者一掃の二塁打を放った。これで勝負ありということになったのだが、湯浅君はこの日3安打でいずれも長打だった。

湯浅君の2打席目となった3回は、四球の土井君を一塁に置いて右中間へ三塁打。これが、反撃の切っ掛けとなっており、古川(こがわ)君のスクイズが安打になって同点。3番及川君も続いて、一、三塁とすると、ここで吉田晃監督はディレードスチールを仕掛ける。これが野手の乱れもあって三塁走者が生還して逆転となった。
5回にも湯浅君は右中間二塁打を放ち、追加点の切っ掛けを作っている。結局、三本の長打がいずれも得点に絡んでいるのだから素晴らしい。

国府台の高橋君は球威はないものの右サイドで、“スーッと”沈んでいくような球をメインに、自分で工夫しなが何とか抑えていく投球だった。投球そのものも丁寧だった。

そして、再度突き放した8回からは、代打山口優君が切っ掛けを作っていたのでその裏からはショートの古川君がリリーフ。先頭にこそ四球を与えたものの、慌てることなく2イニングを抑えた。

浦安は、先発した左腕丸石君は3回に四球からややリズムを崩したのが効いた。二番手の虎渡君も代わり端の6回、四球から1点を失った。8回も四球の走者をためて三人目の星野君に託したが、湯浅君に打たれた。

それでも、浦安としても代打や途中から出場している選手が、与えられた打席できちんと安打するなど、層の厚さを示したのはさすがだった。ことに、倉前君などは2打数2安打。7回には同点タイムリーを放ったのは立派だった。
こうした層の厚さがあって競い合っていくことで、夏までには「技術+α」が大きくなっていくのではないだろうか。

(文=手束仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得