News

冷やす方がいいとき、温める方がいいとき【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2024.05.07


デッドボールなどの急性外傷はまず冷やすことが大切

野球をしているとどうしてもケガをしてしまうことがあります。そのとき、ケガをした部位を冷やした方がいいのか、温めた方がいいのかと悩むケースもあると思います。「冷やす=アイシング」は炎症を抑える一方で、血流を抑え、筋肉や組織の柔軟性を低下させることにもつながるために二の足を踏む人もいるのではないかと思います。冷やす方がいいとき、温める方がいいときについて、頭の中を整理しておきましょう。

【冷やす方がいいとき】

アクシデントによって急にケガをした場合(急性外傷)、ケガをした直後から炎症症状(腫れ、痛み、発赤、出血、熱感など)が見られるようになります。まずはこの炎症症状を抑えるために氷などで患部を冷やし、これ以上炎症がひろがらないようにすることが優先されます。患部を冷やすめどとしては痛みの感覚が冷たい感覚へと変化し、さらにその冷たさも感じなくなってきたときまでとします。小さな部位であれば10~15分程度、大きな部位でも20~30分程度で一度アイシングを終了させましょう。アイシングをした時間の倍を目安として冷却からの回復にあて、また冷却を繰り返すようにすると効果的です。急性外傷の場合は48~72時間(2~3日)をめどに冷却を優先させましょう。

また投球後や練習後などに肩や肘に今までとは違う痛みや違和感などがある場合なども、冷却してその後の経過を見ることが大切です。肩や肘を冷やす際には固定用にバンテージなどを用いることが多いと思いますが、指先が冷たくなりすぎたり、しびれてしまったりすることのないよう、圧迫のしすぎに気をつけましょう。また冷湿布をアイシング代わりに用いる人がいますが、これは消炎鎮痛を主な目的としているので患部を冷却するという点ではあまり適していません。同様に市販の冷却ジェルは患部を皮膚表面を冷やしすぎて凍傷を起こしてしまう場合があるので、患部を冷却する場合は氷か氷水を使用するようにしましょう。

【温めるとき】

ケガをしてから2~3日経ったのちは、患部への血流を促してより早く組織が回復するように温めることを心がけましょう。特に練習前などは患部を温め、動きやすさを獲得してからウォームアップを行うとよりスムーズに野球の練習に参加することができるでしょう。野球は反復動作の多いスポーツであり、繰り返し行う動きが物理的ストレスとなって筋肉の柔軟性が低下したり、疲労が蓄積されたりして痛みが慢性化することがあります。筋肉の硬さが引き起こす痛みに対しても、患部を温めて柔軟性を獲得できるようにしましょう。また「患部を温めた方が調子がいい」という場合も温めることを基本としましょう。

冷やすか温めるか迷ったら、というケースでは「冷やす」ことを優先させましょう。温めると炎症がよりひろがってしまうリスクが考えられますが、冷やすことは柔軟性の低下や治癒促進の遅延などが見られるものの、より深刻な問題にはなりにくいという点が挙げられます。冷やすケース、温めるケースを理解し、上手に活用していきましょう。

文:西村 典子
球児必見のコラム「セルフコンディショニングのススメ」はこちら!

この記事の執筆者: 西村 典子

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.26

新潟産大附が歓喜の甲子園初出場!帝京長岡・プロ注目右腕攻略に成功【2024夏の甲子園】

2024.07.27

昨夏甲子園4強・神村学園が連覇かけ鹿児島決勝に挑む!樟南は21度目の甲子園狙う【全国実力校・27日の試合予定】

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.26

報徳学園が3点差をひっくり返す!サヨナラ勝ちで春夏連続甲子園に王手!【2024夏の甲子園】

2024.07.26

「岐阜県のレベルが上がっている」県岐商が2年ぶりの決勝進出も、岐阜各務野の戦いぶりを名将・鍛治舎監督が称賛!【24年夏・岐阜大会】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.21

名将・門馬監督率いる創志学園が3回戦で完敗…2連覇狙う履正社は快勝【近畿・中国実力校20日の試合結果】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」