Column

【野球部訪問・鳥羽高校第2回】性格も投球スタイルも正反対の“レフティーズ”が京都に旋風を巻き起こす!

2024.03.15


左から大西航平、坂元大悟(鳥羽)

1915年の第1回全国中等学校優勝野球大会で優勝した京都の鳥羽(当時の名称は京都二中)。現在まで夏6回春4回甲子園に出場している伝統校だ。
18日に開幕するセンバツに京都からは京都国際京都外大西の2校が出場。強豪ひしめく激戦区の中で、“古豪”は虎視眈々と2015年以来の夏の甲子園を狙っている。

二人とも好きな投手は今永昇太

そんなチームのキーマンとなるのが二人の左腕投手だ。
大西 航平(3年)と坂元 大悟(3年)。ともに好きな野球選手は、ポスティングシステムを行使してメジャー移籍した今永 昇太(カブス)だ。
「この冬でかなり伸びました。春以降楽しみです」
松下浩司監督も二人の成長に目を細めている。

同じ今永好きの左腕といえどもタイプは違う。大西は、1年生の夏からマウンドを経験している本格派、坂元はカーブを武器に投球を組み立てる頭脳派だ。

大西の持ち味は140キロに迫るストレート。そのストレートをインコースにズバッと投げ込む。投球から感じさせるのは豪快な性格だが、松下監督の大西評は全く反対である。
「繊細で几帳面な子です。身体のケア、トレーニング、どれもストイックに取り組んでいます。この冬どんどん良くなっていくのがわかりました」
この冬、急成長を見せた原動力は秋の悔しさだった。
大西は、ケガのために調整が遅れ、昨秋の京都大会では本来の力を出しきれなかったのだ。
「秋の大会で不甲斐ない結果になって、とても悔しい思いをしました。それから練習の取り組み方を変えたりして、球速も伸びました。メンタル面でも成長できたと思います」

本来持っていた大西のポテンシャルも冬のトレーニングを経て開花しつつある。大西は中学時代、軟式でプレーしていた。肩を酷使しておらず、トレーニングで身体ができるにつれて、球質も上がってきたのだ。
「145キロぐらい、投げたいです」
そう語る大西。鳥羽に入学後、コツコツ続けてきた練習を継続すれば、達成も可能だろう。

マイペースで負けず嫌いな“カーブの使い手”

一方の坂元について松下監督は「ピッチャータイプの性格。マイペースな部分もあるけど、負けず嫌い。野球に対して、すごく思いが強い」と評する。
主将の川合 尚吾(3年)も「マウンドの上でも、ポーカフェイスっていうんでしょうか。表情にあんまり出さないタイプ」と話す。

そんな坂元の武器は、何と言ってもカーブだ。変化球をうまく使ってバッターの目線をずらし、緩急をつける投球をする。では軟投派かというと、そうではない。130キロ中盤の力強いストレートは勢いがある。
松下監督は、坂元にも大西同様の伸びしろを感じている。
「坂元も入学時は身体ができていなかったですが。ようやくできてきた。まだまだまだ良くなると思います」

坂元はこの冬の課題として、リリースポイントの改善を挙げた。「指にかかった力強いストレートを安定して投げる」という目標に向かって練習に取り組んでいる。ストレートが安定してくれば、自慢のカーブがあるだけに投球の幅が一気に広がるだろう。

性格も投球スタイルも違うレフティーズが京都に旋風を巻き起こす。

<関連記事はこちら>
◆【野球部訪問・鳥羽高校第1回】第一回夏の優勝校・鳥羽(京都)は“古豪”なんかじゃない!「つねにアップデートする野球」で甲子園を狙う
◆【野球部訪問・鳥羽高校第3回】超伝統校が考える「新規格バットへの驚くべき対策」とは?
◆【京都】立命館宇治、龍谷大平安の初戦の相手は?<春季大会組み合わせ>
◆【トーナメント表】2023年秋季京都府大会結果
◆【高校野球ベストシーン’23・京都編】空中戦となった決勝、最後は立命館宇治がサヨナラ勝ち

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.14

【2024夏全国ノーシード校一覧】二松学舎大附、履正社、智辯学園、沖縄尚学などビッグネームがノーシードで夏に挑む

2024.05.14

広島「今季新戦力の現状通信簿」、新外国人の復活はなるか!?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?