【野球部訪問・鳥羽高校第2回】性格も投球スタイルも正反対の“レフティーズ”が京都に旋風を巻き起こす!
左から大西航平、坂元大悟(鳥羽)
1915年の第1回全国中等学校優勝野球大会で優勝した京都の鳥羽(当時の名称は京都二中)。現在まで夏6回春4回甲子園に出場している伝統校だ。
18日に開幕するセンバツに京都からは京都国際、京都外大西の2校が出場。強豪ひしめく激戦区の中で、“古豪”は虎視眈々と2015年以来の夏の甲子園を狙っている。
二人とも好きな投手は今永昇太
そんなチームのキーマンとなるのが二人の左腕投手だ。
大西 航平(3年)と坂元 大悟(3年)。ともに好きな野球選手は、ポスティングシステムを行使してメジャー移籍した今永 昇太(カブス)だ。
「この冬でかなり伸びました。春以降楽しみです」
松下浩司監督も二人の成長に目を細めている。
同じ今永好きの左腕といえどもタイプは違う。大西は、1年生の夏からマウンドを経験している本格派、坂元はカーブを武器に投球を組み立てる頭脳派だ。
大西の持ち味は140キロに迫るストレート。そのストレートをインコースにズバッと投げ込む。投球から感じさせるのは豪快な性格だが、松下監督の大西評は全く反対である。
「繊細で几帳面な子です。身体のケア、トレーニング、どれもストイックに取り組んでいます。この冬どんどん良くなっていくのがわかりました」
この冬、急成長を見せた原動力は秋の悔しさだった。
大西は、ケガのために調整が遅れ、昨秋の京都大会では本来の力を出しきれなかったのだ。
「秋の大会で不甲斐ない結果になって、とても悔しい思いをしました。それから練習の取り組み方を変えたりして、球速も伸びました。メンタル面でも成長できたと思います」
本来持っていた大西のポテンシャルも冬のトレーニングを経て開花しつつある。大西は中学時代、軟式でプレーしていた。肩を酷使しておらず、トレーニングで身体ができるにつれて、球質も上がってきたのだ。
「145キロぐらい、投げたいです」
そう語る大西。鳥羽に入学後、コツコツ続けてきた練習を継続すれば、達成も可能だろう。
マイペースで負けず嫌いな“カーブの使い手”
一方の坂元について松下監督は「ピッチャータイプの性格。マイペースな部分もあるけど、負けず嫌い。野球に対して、すごく思いが強い」と評する。
主将の川合 尚吾(3年)も「マウンドの上でも、ポーカフェイスっていうんでしょうか。表情にあんまり出さないタイプ」と話す。
そんな坂元の武器は、何と言ってもカーブだ。変化球をうまく使ってバッターの目線をずらし、緩急をつける投球をする。では軟投派かというと、そうではない。130キロ中盤の力強いストレートは勢いがある。
松下監督は、坂元にも大西同様の伸びしろを感じている。
「坂元も入学時は身体ができていなかったですが。ようやくできてきた。まだまだまだ良くなると思います」
坂元はこの冬の課題として、リリースポイントの改善を挙げた。「指にかかった力強いストレートを安定して投げる」という目標に向かって練習に取り組んでいる。ストレートが安定してくれば、自慢のカーブがあるだけに投球の幅が一気に広がるだろう。
性格も投球スタイルも違うレフティーズが京都に旋風を巻き起こす。
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