Column

日本代表・田村俊介(広島) 動画撮影を「おかわり」したアピール力!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.9】

2024.03.03


田村 俊介

皆さん、こんにちは!!
『高校野球ドットコム』の河嶋 宗一です。私・河嶋が「これまでグラウンドで見てきた感動シーン」(略して『グラカン』)をみなさまにお届けしています!

3月6日、7日は侍ジャパントップチームvs欧州代表との試合が京セラドームで行われます。

今回は広島期待の高卒3年目の田村 俊介外野手(愛工大名電)を取り上げていきます。トップチームの井端 弘和監督からも見込まれ、選出された田村選手の昨シーズンは一軍10試合出場ですが、打率.362と結果を残しており、今シーズンに期待をもたせる内容を魅せていました。

2月の練習試合では4番として起用されており、2月17日のロッテとの練習試合では本塁打を放つ活躍を魅せ、評判は高まっています。

アピールしたい気持ちが大舞台の勝負強さにつながる

田村選手は中学軟式の名門・明徳義塾中でプレー。同期には大阪桐蔭、日本体育大でプレーする154キロ右腕・関戸 康介投手がいました。同じ高知には中学生ながら150キロを投げ込んだ高知中の森木 大智投手(高知-阪神)が注目されており、森木投手と関戸投手のライバル関係は野球関係者の中でも話題になっていました。

田村 俊介

田村選手は投打のどちらでも活躍し、関戸投手を支える存在でした。
中学時代の映像を見て、目を惹いたのはやはり打撃。無駄のないスイング軌道や、軸がブレない安定した打撃フォームは中学の時点からずば抜けていました。高校での活躍が楽しみでした。

田村選手は愛工大名電に進学。レベルの高い愛知県は中京大中京東邦といったライバルも多く、なかなか甲子園に進めませんでしたが、それでも投手としては140キロ前半の速球を投げ込み、打者としても全国レベルの打者へ成長していました。

最後の夏は甲子園に出場し、初戦で敗れたものの、東北学院戦で本塁打を放ちました。最終的には、高校通算32本塁打を放った超高校級スラッガーとして多数の球団から評価される存在になりました。

田村選手の取材は2021年9月中旬。この取材で、実力だけではなく、性格もプロ向きの選手だと実感しました。

まず愛工大名電グラウンドで本人に挨拶すると、「今日はYouTubeありますよね?良い画撮ってくださいよ!」とお願いされました。何気ない一言でしたが、この気遣いはとても楽な気持ちになりました。その後、田村選手の投球練習、打撃練習を撮影し、新チームの練習も撮影していた時に、1人の部員に声をかけられました。
「田村さんが、体が温まったので、もう一度、ティー打撃を撮影してほしいとお願いがありました」

愛工大名電のバックネット裏には、スピードガンが設置されていて、打球速度が出るパネルもあります。ティー打撃をしている田村選手のもとに駆け寄ると、フルスイングをしながら、ティー打撃を行ってくれました。すると驚きの打球速度が出ます。最初測ったときは140キロ程度。これでも十分に速いのですが、2回目では打球速度150キロを連発。最速で155キロでした。他の選手は110キロ〜120キロ台だったので、いかに速いのかが分かります。

田村 俊介

それ以上に惹かれたのがアピールできる機会にどんどんアピールしてやろうという気概です。NPBの世界は、技量はもちろんですが、アマチュア野球以上に個人勝負の世界です。そのためアピールできる機会にしっかりと爪痕を残せるかが大事です。

何気ないやり取りですが、田村選手のアピールしたい気持ちだけではなく、自分の能力の高さを表現できる強さがありました。これが甲子園でも本塁打を放った勝負強さにつながっているのかなと実感しました。

次のページ:気持ちの強さだけではなく、自分の技術を言語化できるクレバーさもある

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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