ハイレベルの接戦! 作新学院逆転で初優勝へ前進!関東一を下す<明治神宮大会準決勝>
<第54回明治神宮野球大会:作新学院8-6関東一>◇19日◇高校の部・準決勝◇神宮
関東と東京の王者同士の対戦は、ハイレベルの接戦になった。
大会もここまで来れば、中心投手の負担はできるだけ減らしたいところだ。作新学院(関東)は関東大会の決勝戦同様、背番号11の小池 柊聖投手(2年)が先発。関東一(東京)は、普段は右翼手で公式戦は初登板になる石田 暖瀬外野手(1年)が先発した。「元気のいい子で、練習試合ではよく投げています」と関東一の米澤貴光監督は言う。
試合は初回から動く。1回、作新学院は、2死一塁から4番・柳沼 翔内野手(1年)が右前安打、5番・岩出 純捕手(2年)の死球で満塁とし、6番・廣田 瑠稀哉外野手(2年)の中前安打で2人が還る。しかし、一塁走者の岩出が一気に三塁に進もうとしたが、関東一の中堅手・飛田 優悟外野手(2年)が三塁に好送球をして刺した。
その裏、関東一は1番・飛田が俊足を生かして内野安打で出塁すると、2番・成井 聡外野手(2年)のバントが敵失となり一、二塁。3番・坂本 慎太郎外野手(1年)のバントも内野安打になり、満塁。関東一は足を生かした攻撃で作新学院を揺さぶる。4番・髙橋 徹平内野手(2年)は捕邪飛に倒れたものの、5番・熊谷 俊乃介捕手(2年)の中犠飛でまず1点を返す。その間に成井は三塁に進み、一塁に残った坂本は投手の暴投で二塁に進む。続く6番・越後 駿祐内野手(1年)の二ゴロは敵失となり成井が還り同点。しかし、二塁走者の坂本は三塁で刺され、同点止まりに終わった。
これでペースをつかんだ関東一は3回、1番・飛田の中前安打に続き、2番・成井、3番・坂本のバントが続けて内野安打になり満塁。前の打席で凡退した髙橋は、今度は二塁打を放ち2点が入る。さらに5番・熊谷の左犠飛で1点を追加する。
4回も1死一、二塁から2番・成井の左前安打で1点を追加する。なお1死一、二塁のチャンスで3番・坂本は二ゴロの併殺に終わる。前半の戦いについて作新学院の小針 嵩宏監督は、「記録に表れない、細かいミスも多かった。でもあの回、1点で納まって、後半勝負に切り替えることができました」と語る。
関東一は足を生かした攻撃で、6対2とリードしたものの、3回も4回も、もっと点が取れた可能性があっただけに、得点の上積みができなかったことが、後半になって響く。
作新学院は4回の途中から右の横手投げの石毛 虹晴投手(2年)が登板。石毛は5回に関東一の6番・越後に二塁打を打たれたものの、得点は許さない。
関東一は3回から今大会好投している大後 武尊投手(2年)が登板。5回までは抑えたものの、6回1死から作新学院の5番・岩出に死球、6番・廣田の安打で一、二塁とし、7番、途中出場の菅谷 峻汰外野手(1年)の右前安打でまず1点を失う。続く8番・菊地 陽太内野手(2年)の右前安打で2人が還り、作新学院が1点差に追い上げる。
6回、関東一の攻撃で、大後に打順が回ってきたが、代打は送らず、7回のマウンドに立つ。関東一の米澤監督としては、もう1イニング投げてほしいところであったが、7回、作新学院は、この回先頭の1番・小森 一誠外野手(2年)が四球。2番・粒良 大輝内野手(2年)、3番・小川 亜怜外野手(1年)の連打で作新学院が同点に追いつく。ここで関東一は大後に代えて、この大会から背番号1になった坂井 遼投手(2年)が登板。坂井は、この回は後続を抑える。
しかし8回、作新学院は、この回先頭の7番・菅谷が右翼席に入る本塁打を放ち、勝ち越しに成功する。さらに7回と同じように、小森の四球に続き、2番、粒良、3番・小川亜の連続安打で1点を追加する。
作新学院は7回からエースの小川 哲平投手(2年)が登板。「絶対に点数を取らせないという気持ちで投げました」と言う小川哲は3イニングをしっかり無失点に抑え、8対6。作新学院が関東一を破り、決勝進出を決めた。
関東一は決勝進出はならなかったが、大阪桐蔭(近畿)を破るなど、走塁を生かした攻撃力は、全国にしっかり知れ渡ることになった。「経験はたくさん、させてもらいました」と米澤監督。課題はあるものの、来年のセンバツに向けて、収穫の多い大会であったことは確かだ。
作新学院はこの大会初優勝を目指して決勝に進出する。「決勝戦にふさわしい、1点を争うような試合ができればと思います」と小針監督は、決勝戦に向けての抱負を語った。