News

【高校野球ベストシーン’23・奈良編】高田商が天理にリベンジ、悔しさを味わった選手が大奮起

2023.12.14


宮武晃希(高田商)

2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。各都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。

【選手権県大会準決勝・高田商vs.天理】

夏の大会ならではの、互いに譲れない気持ちと気持ちのぶつかり合いとなった激戦が、奈良大会準決勝で繰り広げられた。2年連続の夏甲子園を狙う天理と、前年秋の奈良大会決勝で天理に敗れたリベンジを狙う高田商。夏甲子園が見え始めた準決勝で、まさに死闘を演じた。

2回表まで高田商が5対0と大きくリード。しかし天理は2回裏に3点を奪って食い下がると、5回には同点に追いついた。6回に高田商が1点を勝ち越すが、その裏に再び天理が2点を奪って逆転した。シーソーゲームとなった試合は、7対6と天理が1点をリードして迎えた9回に、ドラマが起きた。

高田商天理麻田 悠介投手(2年)に襲いかかる。先頭打者からの連打で無死一、三塁のチャンスをつくると、主将の北嶋 悠輝捕手(3年)が右前適時打を放って同点に追いつく。前年の夏、同じく準決勝で天理に0対7で敗れていた。その試合の最後の打者となった北嶋の意地の一打が、ナインに勇気を与えた。

その後、先発から左翼に回っていた宮武 大輝投手(3年)の代打に送られた、双子の弟・宮武 晃希内野手(3年)が決勝の2点適時打。右肘痛の影響で控えに甘んじていた元三塁手のレギュラーが、奮起の一打を放って見せた。その後、もう1点を加えて、この回4得点。最強の難敵を最後の最後で逆転してみせた。

高田商は近年、天理と五分五分の戦いを演じている。前年の秋の決勝で2対12で敗れ、前年の夏も準決勝で0対7の7回コールド負け。そのリベンジをこの夏に果たしたことになる。21年は逆に夏の準決勝では9回逆転サヨナラの7対6で勝利。秋の準決勝では逆転の13対9で勝利している。

近年、甲子園出場こそ智辯学園天理の「2強」が中心ではあるが、高田商奈良大附など、この2強を脅かすチームが台頭しているのは確か。来年は、どんな「勢力地図」になるのだろうか。

<全国高校野球選手権奈良大会:高田商10-7天理>◇2023年7月26日◇準決勝◇佐藤薬品スタジアム

高田商スタメン
(中)東口 虎雅(3年)
(遊)山中 竜真(3年)
(三)米田 真浩(3年)
(右)竹中 大曜(3年)
(左)米田 賢祐(3年)
(捕)北嶋 悠輝(3年)
(一)藤井 拓海(2年)
(投)宮武 大輝(3年)
(二)高島 秀成(3年)

天理スタメン
(二)下林 勇希(3年)
(捕)赤埴 克樹(3年)
(右)大谷 汰一(2年)
(三)松本 大和(2年)
(左)藤原 凪秀(2年)
(一)三島 潤也(3年)
(遊)赤埴 幸輝(1年)
(投)中川 輝星(3年)
(中)上田 莞丸(3年)※日本大進学予定

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?