阪神1位下村とヤクルト1位西舘の”因縁” 高校時代に激闘の過去、軍配が上がったのは!?
西舘昂汰、進藤勇也、下村海翔
阪神のドラフト1位・下村 海翔投手(九州国際大付出身)が、背番号19のユニホームを着て入団会見に臨み、プロでの熱い思いを口にした。メジャーで活躍する藤浪 晋太郎投手(大阪桐蔭出身)がつけていた重みのある背番号。「阪神で19番は下村と呼ばれるように」。大先輩を乗り越える投手への成長を誓っていた。
下村は兵庫・西宮市出身ながら、福岡の九州国際大付に進学した。鳴り物入りの入学で1年のころから評判だった。2年の春に頭角を現し九州大会でチームを優勝に導いた。当時、取材したこともあり、本格派らしく綺麗なフォームをしていた。直球の回転も高校生とは思えないほど強烈で、スピンが効いていた。高卒でプロにいける素材だと感じていたことを思い出す。
その下村が甲子園を経験することはなかった。同い年には強烈なライバルたちがいたからだ。この2019年の福岡では、筑陽学園が強さを誇っていた。センバツに出場すると2勝してベスト8に輝いた。夏も当然、優勝候補。九州国際大付・下村は、この筑陽学園に勝たなければならなかったが、そのバッテリーが強敵だった。西舘 昂汰投手と進藤 勇也捕手。そう、今年のドラフトでヤクルト1位指名を受けた投手と、日本ハム2位指名を受けた捕手がバッテリーを組んでいた。
九州国際大付は準決勝で筑陽学園と対戦した。3日前の福岡大大濠戦で完投勝利を挙げていた下村はリリーフに回る。筑陽学園の先発は西舘。この右腕の前に、九州国際大付打線が無得点に抑えられる。0対2の劣勢の5回から下村が登板したが、1点の追加点を許して0対3で敗れた。結局、西舘は完封勝利。西日本短大附との決勝でも完投勝利を手にして春夏連続の甲子園をつかんだ。下村は唇をかみしめる結果となってしまった。
その後、下村は青山学院大、西舘は専修大、進藤は上武大でそれぞれ経験を積み、時を同じくしてドラフト上位指名でプロ入りした。
下村と西舘は同じセ・リーグ。対戦する日も訪れるだろう。九州国際大付出身と筑陽学園出身。高校時代のライバル右腕が、神宮か甲子園の地で投げ合うことになりそうだ。下村にとっては、当然、高校時代の借りを返すためのマウンドになる。