試合レポート

【甲子園】1回戦 智辯学園 vs 英明

2023.08.07


SCORE
英明
智辯学園
1234567891011121314
0 1 2 0 3 0 0 0 0 0
0 2 0 2 0 0 0 1 1 1X
TOTAL
6
7

智辯学園、負けゲームの試合展開から土壇場で追いつきサヨナラ勝ち!今大会から背番号1の力投が光る

<第105回全国高校野球選手権記念大会:智辯学園7-6英明(延長10回タイブレーク)>◇7日◇1回戦◇甲子園

智辯学園(奈良)vs英明(香川)の一戦。お互い打撃力も高く、絶対的な力量を持った投手がいないことから、予想した通りに最後までもつれるシーソーゲームになった。

延長タイブレークの末に最後は智辯学園がサヨナラ勝ちしたが、試合全体を振り返ると、智辯学園にとってはとにかく苦しかったといえる。小坂監督も「試合展開だけ考えると、負けゲームです」と語るほどだった。

智辯学園が最初に苦しいと感じたのは2回。英明のエース・下村 健太郎投手(3年)の適時打で1点を先制されたことだった。奈良大会でもあまりない試合展開で、その裏に、智辯学園は5番・川原崎 太一外野手(3年)の適時打で同点。さらに、犠飛で勝ち越しに成功したとはいえ、英明打線のバットが活発に振れていた。

3回、智辯学園はこの勢いを止めようと、先発の田中 謙心投手(1年)を降板させ春、夏の奈良大会では背番号1だった藤田 健人投手(3年)をマウンドに送る。しかし、藤田は英明の4番・寿賀 弘都外野手(3年)に適時三塁打を浴び、さらにスクイズで勝ち越しを許す。英明のやりたいことが成功し、智辯学園は後手に回る内容だった。

それでも4回、智辯学園は無死満塁のチャンスから9番・西川 煌太内野手(2年)の痛烈な左前適時打と2番・山家 拓人外野手(3年)の犠飛で1点を勝ち越す。だが、英明は5回、エースの下村の適時打で再び同点。伏兵とも呼べる「打者下村」の2打点の活躍に、智辯学園のゲームプランが狂っているように見えた。

さらに英明は、1番・鈴木 昊内野手(2年)が、速球に対して上から被せるイメージで振り抜き、左越えの適時二塁打を放って6対4と勝ち越す。

投手をリードする智辯学園高良 鷹二郎捕手(3年)は「決め球として打ち取りたいところで、なかなか打ち取れず苦しかったです」と振り返る。また、智辯学園バッテリーはストライクを取りにいきすぎたリードになっていたことを小坂監督も指摘したようだ。

そして、智辯学園打線も、ストライクを見逃す場面が多く、智辯学園らしさがなかった。それでも、8回にはバッテリーミスから1点。9回にはここまで無安打の松本 大輝外野手(3年)が押し出し四球を選んで同点。松本は「変化球攻めで全く自分のタイミングで打てずに苦しかったです。それでも、ヒットを打ちたい気持ちより、しっかりとボールを見極めることが大事でした」とチームの勝利のためにボールを選ぶことを重視した主砲の四球により、試合を振り出しに戻した。

タイブレークに入った10回裏、智辯学園は途中出場の5番・谷口 志琉外野手(3年)のスクイズが決まり、サヨナラ勝ちで2回戦進出。この土壇場の場面でもしっかりとスクイズを決められる谷口の胆力の強さが光った。

この試合についてはこの甲子園から背番号1を任された中山の力投が大きかった。遊撃手を兼任しているが、やはり本人も背番号1を与えられことは、意気に感じている様子だった。高良捕手も「今日は中山の投球に尽きます。本当に大きい投球でした」とエースを称えていた。

いつでも強打爆発というわけにはいかない。大会初戦でこうした試合を勝ち抜けたのは次につながるだろう。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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