試合レポート

日大豊山vs上野学園

2023.07.11


1回日大豊山・光永消音 左前安打を放つ

日大豊山が上野学園の勢いを封じて7回コールドの大勝

<第105回全国高校野球選手権東東京大会:日大豊山7ー0上野学園(7回コールド)>◇11日◇2回戦◇神宮

 ともに今回はノーシードながら、上位に進出することが多い強豪同士の対決。上野学園はノーサイン野球を取り入れており、日大豊山の福島直也監督は、「仕掛けてくるのが怖かったです」と語る。福島監督とすれば、いかに上野学園を乗せないかが、重要になるとみていた。そしてやはり、上野学園は仕掛けてきた。

 1回表1死後、2番・水野 陽斗外野手(2年)が中前安打で出塁すると、すかさず盗塁したが、日大豊山佐藤 優斗捕手(3年)の強肩に阻まれる。それでも上野学園は3番・小宮 遙斗外野手(3年)、4番・鈴木 一史内野手(3年)の連打で一、三塁とすると、一塁走者の鈴木一は、三塁走者の本盗を助けるような形で一、二塁間に挟まれる。けれどもここは、日大豊山が落ち着いて鈴木一を挟殺プレーでアウトにして得点を与えない。

 1回、日大豊山は、1番・谷口 光陽外野手(2年)の二塁打に、2番・佐久間 祐汰内野手(3年)のバントが内野安打になり一、三塁。ここで日大豊山は重盗をしかけ、谷口が生還した。さらに3番・上野 竜仙外野手(3年)が死球で歩き、この夏から4番になった水泳との「二刀流」光永 翔音内野手(3年)が左前安打を放ち、加えて外野手の失策もあり佐久間が生還した。この回は8番で先発投手の井上 雅也投手(3年)の左前安打もあり、3点を入れる。

 日大豊山の先発・井上は3点のリードを得て、走者を出すながらも得点は与えない安定した投球。試合は日大豊山のペースで進む。2回日大豊山は3番・上野の左前安打で1点を追加した。4回には無死一、三塁から2番・佐久間の遊ゴロで1点。これは野選となったうえ、3番・上野の二ゴロでさらに1点を追加した。4番・光永の二ゴロは得点につながらなかったが、光永が一塁に残ると公式戦初盗塁となる二盗を決める。水泳との「二刀流」の光永は、100メートルを11.9秒で走り、「二盗、三盗と走るのが好きです」と語る。ただし続く途中出場の5番・大池 快内野手(3年)の左前安打で光永は本塁を突いたが、アウトになった。「三塁を回ったところで、足がもつれてしまいました」と光永は語る。

 日大豊山は5回にも1点を追加して7対0。井上が6回、7回と上野学園を三者凡退に抑えて7回コールドが成立した。

 上野学園はこの1年、対戦運がやや厳しかったこともあり、結果をほとんど残せなかった。毎年選手が入れ替わる高校野球では、こういう時期もある。負けて得た教訓もまた財産であり、悔しさを次代の成果につなげてほしい。

 それにしても、昨年の高校総体の競泳の優勝者が、この夏は甲子園を目指して戦っているというのも興味深いことだ。光永は、朝に泳ぐ程度で、いまはほぼ野球に専念している。高校総体の予選には出場しており、この夏泳ぐ可能性がないわけではないけれども、この夏は野球が最優先。福島監督は、「彼らしくやってくれればいいです」と語る。とはいえ、野球と水泳との「二刀流」の光永の挑戦は、日本のスポーツ界にとっても注目すべき出来事であることは、確かだ。

取材=大島 裕史

上野学園・地引優星

1回表日大豊山、重盗で谷口光陽生還

2回日大豊山・上野竜仙 中前適時打を放つ

4回日大豊山・光永翔音 本塁アウト

1回日大豊山・光永消音 左前安打を放つ

日大豊山・井上雅也

上野学園・上野佑亜

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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