News

膝に手をつく呼吸の姿勢

2023.05.30

膝に手をつく呼吸の姿勢 | 高校野球ドットコム
前屈みの姿勢(左)の方が胸を反らせた姿勢(右)よりも息が吐きやすく呼吸効率が良くなる

 全力疾走した直後を想像してみましょう。心拍数や呼吸数が急激に増えて体力的に「きつい」と感じる状態ではないでしょうか。野球では動けなくなるほどの苦しさを伴う場面というのはさほど多くありませんが、試合であればランナーで激走した直後のピッチングや守備機会であったり、その反対に野手としてボールを全力で追いかけた後の打席であったりと、心拍数が多くなり、呼吸が乱れた状態になることは起こります。

 こうした局面でも心拍数や呼吸数が早く元の状態に戻るように、練習ではスタミナ強化を目的としたインターバルトレーニングやランニングなどを行うこともあるでしょう。

 苦しい状態になるとどうしても呼吸は「浅く」「早く」なりがちですが、こうした呼吸は「呼吸効率が良くない」とされています。呼吸は大きく息を吸い込んで新鮮な空気(酸素)を取り込み、体内にある二酸化炭素を排出することを繰り返しますが、すべての空気がガス交換に使われるわけではなく、一部の空気は使われずに肺の中に残ってしまいます。

 古い空気が残った状態で新鮮な空気を吸い込んでも、多くの酸素を取り入れることができません。苦しいときはどうしても息を吸うことに意識が向いてしまいますが、まずは息をしっかり吐いてより多くの二酸化炭素を出すことを心がけましょう。そうすることで酸素をより多く体内に取り込むことができ、心拍数や呼吸数がより早く元の状態に回復します(呼吸効率の改善)。

 また激しい運動後にいかに早く呼吸や心拍数を元の状態に戻すかは、個人の体力要素だけではなく、呼吸の回復姿勢にも違いが見られることがわかってきています。ランニング後に「手を膝につかない」「顔を上げよう」と言われた経験がある人も多いと思いますが、こうした姿勢よりも「手を膝についた」前屈み姿勢の方が、心拍数や呼吸数が早く元の状態に戻るという研究結果が報告されています。

 前屈みの姿勢は、呼吸を司る横隔膜(おうかくまく)と胸郭内面で作り出す空間がひろがって、より多く息を吐くことができるため、結果的に呼吸効率が良くなるとされています。今までは激しい運動の後には、多くの空気が吸えるように顔を上げていたかもしれませんが、これからは膝に手をつく前屈み姿勢でしっかりと息を吐き、呼吸効率を高めてすみやかに体力を回復させるようにしてみましょう。

文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.18

【春季関東大会】白鴎大足利・昆野が最速152キロを計測!前橋商の剛腕・清水はまさかの5失点…。チームもコールド負け!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?