本塁打で流れを呼び込んだ蒲郡が、豊橋商との東三河対決に快勝
6回に勝ち越し本塁打を放ち、笑顔でホームへ向かう蒲郡・山出君
<第148回中日旗争奪全三河高校野球大会:蒲郡6-1豊橋商>◇28日◇準決勝◇刈谷市営
今季の全三河大会は、公立校の健闘が光っている。結局、ベスト4にはすべて公立校が残った。しかも、準決勝では東三河勢同士、西三河勢同士の公立校対決となった。
メジャーに進出したメッツ・千賀 滉大投手の出身校ということで、一躍中央球界にも知られるようになった蒲郡。今春の県大会では、初戦で桜台にコールド勝ちするなど力を示している。
豊橋商は、豊橋市の伝統の商業校で、各地で商業校の野球部は苦戦している中で、愛知県内では愛知商とともに健闘している方だと言っていいであろう。今春の県大会でも、1回戦では尾張地区の中堅私学の大成に快勝している。2回戦では準優勝した至学館に敗れたが、食い下がった。
そんな両校の対決である。僅差の競り合いが期待された。
先制したのは豊橋商で2回、2死満塁から暴投で先取点が入る。しかし蒲郡もすぐに3回、1死二塁から9番・清田 知寛外野手(3年)の適時左前打で同点とする。
その後、豊橋商は背番号6の中西 柊満投手(2年)、蒲郡は打っても4番の酒井 悠輝投手(3年)がともにしっかりと投げて前半は1対1で緊迫した展開となった。そして、試合はそのまま後半に入っていった。次に、どちらにどういう形で得点が入るかが、大きく試合の流れを左右しそうな展開だった。
それが蒲郡の6回だった。1死から3番・山出 益来内野手(2年)がジャストミートして捉えた打球は、左柵越えのソロアーチとなった。これで勢いづいた蒲郡は続く酒井も左前打。これで、豊橋商の田村知憲監督は中西を三塁へ下げるなど内野を動かして、マウンドには背番号10の古川 久翔投手(2年)を送り出したが、その代り端を原田 虎俐栖外野手(3年)がたたいて右越え二塁打して二、三塁とする。そして、続く松橋 航太内野手(3年)がセーフティースクイズを決めてこの回2点目で3対1とした。さらに、7回にも蒲郡は四球と1番・伊藤 廉内野手(3年)の安打などでチャンスを作ると石守 然外野手(2年)、山出のセーフティースクイズがことごとくバント安打となるなどで、さらに2点を追加した。完全に、試合の流れは蒲郡に傾いていっていた。
そして、9回にも無死満塁から山出がダメ押しともいえる左犠飛を放った。
こうして、整備後の6回に長打で流れを呼び込んだ蒲郡が、試合の後半を支配していく形で、逃げきった。ことに、蒲郡としては、前半に酒井が踏ん張っている時に、守りで崩れなかったことも大きかった。大谷卓司監督も、「2回には暴投があって、ちょっと乱れましたが、それ以外ではしっかり守ることができて、守りの勝利といってもいいと思います」と、元々守備からチームを作っていくスタイルなだけに、その成果が出てきていることにも喜んでいた。
そして9回には酒井を下げて荒島 幸太朗投手(2年)、右サイドスローの安達 智大投手(3年)とつないで豊橋商打線を抑え切った。安達に関しては、「いつも、一生懸命に練習して努力している子なので、公式戦で経験をさせてあげたかった」という思いもあったようだが、安達もそんな大谷監督の思いに十分に応える好投だった。
(取材=手束 仁)