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13季ぶり優勝の花園大 なぜ甲子園メンバー、近畿地区のトップ投手が入学するようになったのか?

2023.05.11

13季ぶり優勝の花園大 なぜ甲子園メンバー、近畿地区のトップ投手が入学するようになったのか? | 高校野球ドットコム

 京滋大学野球連盟春季リーグ戦は花園大が13季ぶり2度目の優勝を果たし、7年ぶり2回目となる全日本大学野球選手権出場を決めた。

 9日にマイネットスタジアム皇子山で行われた滋賀大との1回戦を8対4で勝利していた花園大。同球場で行われる10日の2回戦で勝利し、その後に行われる佛教大対京都先端科学大の試合で佛教大が勝利すれば、花園大の優勝が決まることになっていた。

 大事な試合を任されたのは最速150キロ左腕の小林 純大投手(2年=栗東)。3失点しながらも11奪三振と力を見せつけた。

 試合は3対3の同点で迎えた9回表、1死一、三塁から2番・岩田 優雅外野手(4年=東山)の一塁ゴロで三塁走者の主将・宮村 和暉内野手(4年=啓新)が本塁に突っ込む。「良いスタートではなかった」と言いながらも懸命の走塁でセーフを勝ち取り、貴重な勝ち越し点を奪った。

 このリードを完投した小林が守り切り、4対3で花園大が勝利。選手たちはスタンドで佛教大と京都先端科学大の試合を見守ることになった。

 佛教大対京都先端科学大は佛教大が5対1で勝利。これで勝ち点、勝率で上回るチームが出ないことが決まったため、花園大の優勝が確定した。

 勝利した瞬間に優勝を決めることができなかった花園大だが、連盟の計らいもあり、佛教大と京都先端科学大の試合が終わった後に選手がグラウンドに降りて、マウンドで歓喜の輪を作ることができた。

 今年3月に就任したばかりの川﨑克巳監督は、「まさかこんな感じになるとは思わなかったですけど、奥本君の力でここまで来たと思います。そして、選手がよくやってくれました」と喜びを語った。

 川﨑監督が話す「奥本君」とは一昨年から指導に携わっている奥本保昭コーチのことである。奥本コーチは京都成章の監督として1998年夏の甲子園準優勝に導き、後に率いた塔南では森脇 亮介投手(西武)らを育てた。

 奥本コーチが花園大に来てから好選手が入学するようになり、昨年は廣部 嵩典外野手(2年=県岐阜商)や植西 龍雅内野手(2年=京都国際)らの甲子園経験者に加え、滋賀県では好投手として評判だった小林や藤原 聡大投手(2年=水口)が加入。今年の新入生も川﨑 壮志内野手(1年=比叡山)、岩内 琉貴也外野手(1年=京都国際)、永倉 暖也捕手(1年=京都成章)と既にスタメンに名を連ねる選手が3人もいる。

 リクルーティングが上手くいった一方で、悩まされていたのが指導者不足だ。昨春のリーグ戦後に前監督が退任したため、昨秋は奥本コーチが監督代行として指揮を執った。そこで奥本コーチが頼ったのが、大阪体育大時代の1学年上である川﨑監督だった。

 大阪府の公立高校で指導者をしていた川﨑監督は奥本コーチの要請を受け入れ、この春から監督に就任。髪型や服装などの生活面から見直してチーム力の向上を図った。

 優勝の原動力となったのは投手力だ。最速151キロ右腕の藤原にトルネード投法の最速150キロ左腕・小林、右横手から140キロ台中盤の速球を投げる奥田 貫太投手(4年=八幡商)が三本柱として君臨。彼らを中心に守りからリズムを作り、厳しい試合も制してきた。

 6月5日に開幕する全日本大学野球選手権(神宮)は2回戦からの登場となり、札幌学生野球連盟代表と関西六大学野球連盟代表の勝者と対戦する。2019年春に甲子園出場経験のある宮村は、「思い切り全国大会を楽しみたいです」と高校3年生時以来となる全国大会に胸を躍らせていた。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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