試合レポート

東北工業大vs東北大

2023.04.25

東北工業大が2季ぶりの勝ち点奪取!エース後藤が136球完投から中1日で165球完封

東北工業大vs東北大 | 高校野球ドットコム
11奪三振完封勝利を挙げた東北工業大・後藤佑輔

<仙台六大学春季リーグ:東北工業大3-0東北大>◇24日◇第3節3回戦◇東北福祉大

 1勝1敗で迎えた東北工業大と東北大の3回戦。東北工業大は初回に難波 龍世内野手(3年=仙台育英)の2点適時打で先制すると、5回には佐久間 永翔内野手(2年=白石工)に適時打が飛び出しリードを広げた。投げては、1回戦で9回136球14奪三振完投勝利を挙げた左腕・後藤 佑輔投手(3年=仙台育英)が中1日で先発し、165球11奪三振完封勝利。チームに今季初、そして昨春の東北大戦以来となる勝ち点をもたらした。

 完投勝利から中1日。後藤は「正直疲れはめちゃめちゃありました」と明かしつつ、「任せられたので、そこは割り切って」と気合いを入れ直しこの日の試合に臨んだ。また東北大1回戦の試合途中、左手の中指に違和感を覚えていた。乾燥でひび割れを起こしていたのだ。3回戦の試合前に症状がさらに悪化し、一抹の不安を抱えながらマウンドに上がった。

 しかし、いざ試合が始まれば、疲れや不安を感じさせない投球を続けた。3回までは無安打投球。4回以降は、与四球も増えたことから4度得点圏に走者を進め、2度満塁のピンチを背負う苦しい展開となったものの、最後まで本塁は踏ませなかった。

 この日の最速は139キロ。普段は140キロを超える速球を投げるが、ひび割れを考慮し球速は意図的に抑えた。変化球は得意としているスライダー、カットボールはひび割れの影響で投げづらかったことから、ツーシーム、チェンジアップを多投。緩急をつけた投球で東北大打線を手玉に取った。

 多投したツーシーム、チェンジアップは今オフ特に時間をかけて磨いた球種。1日80~100球を投げ込む中、練習時から変化球を投げる割合を多くすることで実戦でも通用する球種を増やしてきた。

 昨秋のリーグ戦では4試合、20回を投げ防御率1.80と好成績を残した。今春は開幕投手を務め、強力仙台大打線を5回まで3安打無失点に抑える快投を披露。勢いそのままに東北大との2試合でも好投した。昨秋同様の威力ある直球はもちろん、試合でも割合を多くした豊富な変化球が冴えわたっている。相手打者に合わせた球種、自身のコンディションに適した球種を自由自在に操れるようになったのが、好調の要因だ。

 後藤は試合後、「最後まで投げ切れて、勝ち点を奪えて、嬉しいの一言」と笑顔。その一方、「(次戦の対戦相手である)東北福祉大相手にどれだけ力を発揮できるかが大事」と早くも次を見据えていた。波に乗る左腕が強豪相手にどんな投球を見せるか、注目だ。

 目黒裕二監督にとっては就任後初の勝ち点奪取。目黒監督は「疲れた試合でしたけど、ほっとしました」と胸をなでおろした。また練習に打ち込む後藤の姿は指揮官の印象にも強く残っており、「後藤を勝たせてあげられてよかった」とエースをねぎらっていた。就任1季目の昨秋は屈辱の最下位。「工大」の下剋上はまだ始まったばかりだ。

(取材=川浪 康太郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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