試合レポート

東北学院大vs東北大

2023.04.16

東北学院大、星新体制で初の勝ち点奪取!4年生猪俣が「イメージ通り」のサヨナラ打

東北学院大vs東北大 | 高校野球ドットコム
サヨナラ打を放ち、ベンチに向けて拳を突き上げる東北学院大・猪俣俊介

<仙台六大学春季リーグ:東北学院大5ー4東北大(延長10回タイブレーク)>◇16日◇第2節2回戦◇東北福祉大

 前日のリーグ戦初戦を7対3で快勝した東北学院大。この日は初回に3点を先制され苦しい展開となるも、9回に追いつくと、10回タイブレークの末にサヨナラ勝ちを収め、星孝典監督の就任後初となる勝ち点を奪取した。

 東北学院大の先発を任された井上 聖南投手(3年=東北学院)は立ち上がりに苦しみ、3回3失点で降板。4回からは、「先発が後輩だったので、初回からいつ呼ばれてもいいように準備していた」という野中 大輔投手(4年=花巻東)がマウンドに上がった。4回から9回までを1失点に抑え、失点した7回以外はいずれも三者凡退と圧巻の投球を披露。タイブレークが適用された10回は2死満塁のピンチで1番打者を三振に仕留め、0で切り抜けた。

 昨年までの最速は140キロで、ほとんどが130キロ台だったが、この日は直球が常時140キロを超え、最速は145キロを計測。「昨秋まではまっすぐに自信がなく、変化球で逃げることが多かったけど、まっすぐで押してカウントを取れるようになった」と手応えを口にした。体の使い方を研究したり、オリックス・山本 由伸投手(都城高出身)の練習方法を取り入れたりしたことが球速アップにつながったという。経験豊富な最上級生とあって、周囲からの信頼は厚い。「自分の任された責務を全うするだけ。チームのために頑張って投げたい」と力を込めた。

 一方の打線は1点差に詰め寄ったあとの5回以降、本塁が遠かったが、9回に4番・坂本 章畝内野手(3年=一関学院)のソロ本塁打が飛び出し試合を振り出しに戻す。10回は無死満塁の好機で9番・猪俣 俊介内野手(4年=健大高崎)が右前への適時打を放ち、試合を決めた。

 「どんな球が来ても初球で決める」と心に決めて打席に立った猪俣は、その言葉通り、初球の変化球を捉えた。打った直後は、ベンチへ向け渾身のガッツポーズ。「打ち終わりまでイメージしていた」と振り返るように、準備と気合いがもたらした一打だった。

 星監督は就任以降、選手間のコミュニケーションを深めることに重きを置いてきた。この試合も中盤は無得点のイニングが続いたが、ベンチでは懸命に声をかけ合う選手の姿が目立った。猪俣は「昨年までのチームだったら、そのままズルズルいって負けていたかもしれない。星監督が来てから暗い雰囲気でも声を出し続けることを大切にするようになって、チームがまとまってきた」と話す。チーム力を強化してきた東北学院大は、次節は強敵・東北福祉大に立ち向かう。

 東北大は敗れたものの、初回は3番・中丸 宏平外野手(4年=佼成学園)が2点本塁打を放つなどし、いきなり3点を先制した。7回は先頭の小林 厳捕手(4年=江戸川学園取手)が左前打で出塁すると、代走の植木 祐樹外野手(3年=長野吉田)が捕逸の間に好走塁で本塁を陥れ、1安打で一時勝ち越しに成功。また先発した野瀬 陸真投手(3年=春日部)は10四死球を出しながらも6回3失点と粘投した。勝機は見えていただけに、ここぞの場面でのワンプレーを磨くことが白星を重ねることにつながるはずだ。

(取材=川浪 康太郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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