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WBC日本代表の宇田川優希や中野拓夢を輩出した仙台六大学 今春も開幕戦からプロ注目4年生が猛アピール

2023.04.11

 数々の名選手を輩出してきた仙台六大学野球連盟。近年は仙台大、東北福祉大から多数NPBに進んでおり、今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では仙台大出身のオリックス・宇田川 優希投手(八潮南出身)、東北福祉大出身の阪神・中野 拓夢内野手(日大山形出身)が代表入りし活躍した。

 4月8日に開幕した仙台六大学野球春季リーグ戦では、両校が早速登場。ともに連勝を収めた中、今秋のドラフトを見据える4年生も続々とアピールに成功した。今回は、開幕節から結果を残した仙台六大学のプロ注目選手を紹介する。

仙台大初の野手支配下指名を狙う遊撃手と右のスラッガー

WBC日本代表の宇田川優希や中野拓夢を輩出した仙台六大学 今春も開幕戦からプロ注目4年生が猛アピール | 高校野球ドットコム
辻本 倫太郎(仙台大)

 今年の最大の目玉と言っても過言ではないのが、「世代No.1遊撃手」との呼び声高い仙台大・辻本 倫太郎内野手(4年=北海)だ。開幕節は2試合ともに「3番・遊撃」でフル出場し、計6打数1安打3打点。安打こそ内野安打1本にとどまったものの、9日の試合では5回に犠飛を放つなど、好機で着実に打点を挙げた。また2試合連続で盗塁を決め、走塁面でもアピール。「世代No.1」たる所以である遊撃守備も堅実にこなし、総合力の高さを示した。

 昨年は大学日本代表の一員として国際大会で活躍し、明治神宮大会では本塁打を放った。大学ラストイヤーもアピールを続けることができれば、仙台大初となる野手の支配下指名も現実味を帯びてくる。再び全国の舞台でプレーするべく、まずはリーグ戦制覇に走攻守で貢献する。

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開幕戦で適時打を放ち、笑顔でベンチに戻る仙台大・三原力亞

 「仙台大は辻本だけじゃない」と豪語するのは、右のスラッガー・三原 力亞外野手(4年=聖光学院)。昨春の東北学院大2回戦で1試合3本塁打を記録した長打力が武器で、大学入学時から強いプロ志望を貫いてきた。昨秋痛めた膝の痛みが再発し、開幕節はベンチスタート。それでも8日の試合では6回の好機に代打で登場し、スライダーを捉え貴重な2点適時打をマークした。「試合に出ないと『勝ちたい』という気持ちが薄れがちだけど、落ち込んでいたら結果にも影響してしまう。今はぐっと我慢して、使われた場面で打てるよう準備したい」と話すように、ケガが完治するまでは与えられた打席で自身の持ち味を発揮する。

大先輩・宇田川の背中追うリリーバーが開幕戦から好救援

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ジャクソン 海(仙台大)

 逸材がそろう仙台大投手陣の中では、ジャクソン 海投手(4年=エピングボーイズ)がNPB入りを目指し日々進化を続けている。150キロに迫る威力ある直球と、スライダーを中心とした鋭い変化球が武器の右腕。昨秋は中継ぎとしてチームのリーグ優勝、明治神宮大会出場に貢献した。

 8日の開幕戦では、3点リードの7回2死一、二塁の場面で登板。最初の打者には四球を与えたものの、次打者は140キロ台中盤の直球と落差のある変化球を織り交ぜた投球で翻弄し空振り三振に仕留めた。回跨ぎとなった8回も安定感を光らせ三者凡退。上々の無失点スタートに、「修正がうまくいった。リラックスした方がいい球を投げられるということも確認できた」と手応えを口にした。

 オーストラリア人の父と日本人の母を持ち、オーストラリアではU12、15、23で代表入りしている。今回のWBCは「日本とオーストラリア、両方とも応援した」という。中でも釘付けになったのが、大学の先輩である宇田川の投球。プライベートでも仲が良く、ジャクソンが最も尊敬している野球人だ。「やっぱりすごい。野球が簡単に見えた」と宇田川の偉大さを再認識した上で、「3年後、自分もあの舞台で投げたい」と気持ちを新たにしていた。

総合力光る右腕が圧巻の三者連続三振

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北畑 玲央(東北福祉大)

 東北福祉大は3年連続で複数人がドラフト指名を受けており、今年も投手陣を中心に逸材が名を連ねる。その中でもチーム随一の総合力を誇るのが、最速149キロ右腕の北畑 玲央投手(4年=佐久長聖)。勢いのある直球はもちろん、カットボール、チェンジアップ、カーブなど多彩かつ精度の高い変化球を併せ持ち、どの球種でもストライクを取ることができる。昨秋は2年次に肘の手術を行ったことも影響しリーグ戦での登板がなかっただけに、大学ラストイヤーは再起に燃えている。

 8日の開幕戦では大量リードの最終回に登板し、全球直球で三者連続三振に抑える完璧な投球を披露した。そのほとんどが140キロを超え、最速は147キロを計測。今オフはやり投げの投げ方を意識した投球フォームを取り入れたことで球威が増したといい、球速も例年の同時期より速い数字が出ている。スタミナも十分で、先発、中継ぎ問わず今春はフル回転することとなりそうだ。

 東北福祉大は最速152キロ右腕の後藤 凌寿投手(4年=四日市商)もドラフト候補に挙がる。「後藤と比べると身長が低く、伸びしろも少ない」と謙遜しつつ、「スタミナや安定感、修正能力やコントロールなど、自分の持ち味をいかに出せるかが大事」と認識し己を磨いている。

(記事=川浪 康太郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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