離島の躍進が22年も沸かせた 20年ぶりの選抜チーム発足など鹿児島3大ニュース
コロナ禍3年目を迎えた2022年。声出し応援の禁止など、依然様々な制約はある中でも、観客の入場制限などはなくなり、夏の大会では3年ぶりに入場行進も実施されるなど、春の県大会から秋の1年生大会まで、これまでに近い形で全ての大会を実施することができた。この1年の三大ニュースを挙げる。
第3位 鹿児島選抜チームが宮崎選抜と交流試合
秋の鹿児島大会終了後、鹿児島選抜チームが結成され、11月13日に[stadium]都城市営球場[/stadium]で宮崎選抜との交流戦が2試合組まれた。鹿児島で選抜チームが結成されるのは、2002年にハワイ選抜が来鹿して以来、20年ぶりの出来事だった。
目的は「鹿児島県高校野球の普及・発展・強化」「県代表としての誇りを胸にライバルと力を合わせて挑む」「選考会を通じて学んだことを自チームに還元する」こととチームを率いる吉田 公一監督(武岡台)が話す。10月29日に鹿児島実高グラウンドで39校64人の選手が集まって練習会。この中から投手4人、捕手4人、内野手11人、外野手6人の計25人が選ばれた。鹿児島玉龍の左腕エース・川畑 陽介投手(2年)、鹿児島城西の長距離砲・明瀬 諒介内野手(2年)、黒川 虎太郎捕手(2年)、神村学園の秋元 悠汰外野手(2年)、今岡 歩夢内野手(2年)、鹿屋中央の村山 源内野手(2年)、串木野の川崎 將斗内野手(2年)らが名を連ね、主将は鶴丸の別枝 昊祐外野手(2年)が抜擢され、都城であった交流戦に臨んだ。
試合は1試合目が3対4のサヨナラ負け、2試合目は1対3で敗れて2連敗だったが、参加した選手たちの学校を越えた交流と、野球に対する取り組みの意識を高める上でも大きな意義のあった取り組みとなった。
[page_break:第2位 鴨池市民球場、台風で使用不能に!/第1位 大島躍進、春センバツ、夏準優勝]第2位 鴨池市民球場、台風で使用不能に!

台風で破損した鴨池市民球場
秋に開催された第151回九州地区高校野球大会鹿児島県予選は、大会直前に上陸した台風14号の影響を受けた。本来なら9月19日開幕予定だったのが、20日の順延が早々と決まった。
台風上陸の影響で[stadium]鴨池市民球場[/stadium]の防球ネットが破損。硬式野球の開催が不能になったため、大会日程の大幅な見直しを余儀なくなれた。本来なら3回戦までは[stadium]平和リース球場[/stadium]、市民球場の2球場を使用するが、[stadium]平和リース球場[/stadium]のみの使用で1日3試合だったのを4試合に変更。試合時間が押して第4試合はナイトゲームになることも多かった。
喜界は大会初日の第3試合に組まれていたが、台風の影響で大会前日までの鹿児島入りは叶わず、20日当日に喜界島から奄美大島を経由して空路で来鹿。県高野連も試合開始時刻を遅らせて対応した。試合開始約30分前に到着し、出水工に4点差で敗れたが、松元 修監督は「大会を成立させるためにいろんな人が関わっていることが分かることが彼らの今後につながる」と話していた。
第1位 大島躍進、春センバツ、夏準優勝

大野稼頭央(大島)
21年に続いて、22年も鹿児島大島の躍進を第1位に挙げたい。
3月、8年ぶり2回目となるセンバツ甲子園は初戦で明秀日立(茨城)と対戦。甲子園独特の雰囲気に戸惑い、本来の力を発揮できず、0対8で敗れた。
その後、春の九州大会、5月のNHK旗選抜大会と初戦敗退が続き、調子がなかなか上がらなかったが、最後の夏に21年の秋にみせた粘り強さを取り戻した。準々決勝・出水中央戦では9回裏に2点差を逆転サヨナラ勝ち。決勝戦も9回2死まで0対3と劣勢だったが、そこから2点を返し「あわや」という試合をやってのけた。
決勝戦は開場前から長蛇の列ができ、試合が始まっても球場に収容しきれず、6回から外野席を無料開放する異例の措置がとられた。鹿児島を代表する名門・鹿児島実と離島勢初の決勝進出を果たした鹿児島大島。注目のカードを一目見ようと大勢の観客が鴨池に駆けつけ、歴史的な決勝戦となった。春夏連続の甲子園出場は果たせなかったが、鹿児島の高校野球史に新たな1ページを刻んだ。
その模様を拙著「大島高校野球部の軌跡」(南方新社)で詳細に記した。エース大野 稼頭央(3年)はドラフト会議でソフトバンクから4位指名。今後はプロの世界での活躍が期待される。
(記事:政 純一郎)