試合レポート

下関国際vs高松商

2022.10.07

巨人ドラ1候補に浮上した浅野翔吾 なぜプロでは「チャンスを作る役に徹する」のか

下関国際vs高松商 | 高校野球ドットコム
浅野翔吾

<とちぎ国体:下関国際8-6高松商>◇2日◇1回戦◇清原

 2日から5日までの3日間にかけて、とちぎ国体で高校野球が開催され、大阪桐蔭(大阪)が優勝を飾った。甲子園のベスト4を中心に選ばれた8校の対戦に注目が集まるなか、浅野翔吾外野手(3年)を擁する高松商も出場した。

 初戦で下関国際(山口)の前に敗れたが、早くから巨人がドラフト1位で指名する可能性があることが報じられたこともあり、注目度が一気に高まった。1番・中堅手で出場すると5打数2安打1打点で、高校野球最後の公式戦を終えた。

 簡単に勝負はしてもらえなかった。同じくプロ志望届を提出した下関国際の先発・古賀康誠投手(3年)が低めを丁寧につくピッチングを続け、気持ちよくスイングはさせてもらえなかった。外野まで痛烈な打球を飛ばすものの、態勢は崩された打撃だった。それでも、この夏の甲子園を沸かせた男がとらえた打球に、観客は大きな歓声を挙げ、まさにスター選手という注目ぶりだった。

 3回は突っ込みながらも左翼への二塁打。8回の最終打席では、食らいつきながら右前へはじき返すなど、対応力の高さを見せた。このバッティングを上のステージで武器にしていきたいと話していた。

 「(持ち味は)フォームを崩されながらヒットが打てるのと、選球眼の良さになると思います」

 甲子園をはじめ、高校野球3年間で見せてくれた豪快な一打を放つスラッガーとしてではなく、対応力の高さを武器にするつもりだ。少し意外に感じられるが、あくまで自身とプロの世界との間にあるレベルの差を冷静に考えた結果だ。

 「(上のステージには)自分よりも体の大きい選手がいるので、そうした選手に対してホームランを打って活躍して正面から勝負するのではなく、自分が生きられる道でやっていきたいと思いますので、チャンスを作って体の大きい選手に回すようにしていきたいと考えています」

 メジャーリーガーのホセ・アルテューベを理想に掲げてレベルアップをしていく。謙虚に、そして冷静に自分と一流選手との差を見定めることができるのは、この1年間の成長があったからだといっていい。

 新チーム発足時は、「チームのことよりも、自分の結果で機嫌が違った」という。しかし、夏の大会に向かっていく中で、「自分のことだけではなく、チームが勝てばいい」と意識が変わったことが、成長につながった。だから、上のステージに向けても、背伸びすることなく、謙虚に自分のできることに徹する思いになる。

 「高校生活でできることはできたので、胸を張って待てるようにしたい」と運命の10月20日を迎える。世代屈指のスラッガーは、果たしてどの球団に行くのか。

(記事=田中 裕毅/写真=寺下 友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.26

【福島】聖光学院が4連覇を達成<春季県大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉