Interview

元プロ監督の指導で全国トップレベル右腕へ成長した帝京長岡の茨木 技術、体力も急成長した3年間【前編】

2022.10.12

 10月20日に予定されているプロ野球ドラフト会議が迫ってきた。今年の高校生投手のなかで、12球団から注目されている投手がいる。それが、帝京長岡(新潟)の茨木 秀俊投手(3年)だ。

 182センチ、85キロと恵まれた体型から最速147キロの速球に、「魔球」と呼ばれるチェンジアップ、切れ味抜群のスライダーを武器に持つ、12球団のスカウト視察済みの本格派右腕だ。昨年から注目されてきた投手で、しっかりと取り上げたいと考えていた。茨木の成長過程に迫っていく。

丁寧な練習姿勢によって大きく成長

元プロ監督の指導で全国トップレベル右腕へ成長した帝京長岡の茨木 技術、体力も急成長した3年間【前編】 | 高校野球ドットコム
帝京長岡・茨木 秀俊

 長岡市に所在する帝京長岡

2年生以下が来年の飛躍へ向けて練習している中、茨木がグラウンドに現れたが、丁寧な練習姿勢に目を惹かれた。エクササイズ、ランニングなどを懸命にこなしていく。182センチ、85キロと数字を並べるとガッシリとした体型をイメージするが、実際の茨木は、まるで女性ウケするような、いわゆる「細マッチョ」だ。夏から体重が3キロ増となったというが、ダボついた体ではないのを見ると、精力的にトレーニングしているのが分かる。

 北海道札幌市手稲区出身。小学校2年生のときに、元高校球児で草野球でプレーしていた父の影響で、野球を始めた。順調に投手としての素質を伸ばし、札幌東シニアでも好投手として活躍した。

なぜ北海道の強豪校ではなく、帝京長岡に行くことを決めたのか?

「話が来るまで、帝京長岡という学校は全く知りませんでした。新千歳空港から新潟空港へ移動して、帝京長岡の練習を見させていただいたのですが、自分に合っていると感じて、その上で(元プロ)芝草監督の指導を受けたくて来ました」

 その選択は正解だった。当時はコロナ禍だが、茨木は順調に素質を伸ばしていく。

 入学当時は130キロほどだった球速が、140キロまで伸びた。フォームの修正が大きな理由だった。芝草監督から指摘を受けた点とは。

「まず自分は開く癖があって、球もシュート回転していて弱くなっていたので、グラブの使い方についてまず言われました。体重移動も真っ直ぐ入れるということを常に言われていました」

 入学時は左腕のグラブが開く癖があった。

「そのためグラブを真っ直ぐ伸ばして、胸に持っていく動作にしました。胸へ向けて真っ直ぐ引き付けるイメージですね」

 フィジカル強化も行った。体幹トレーニングや日々のストレッチを欠かさなかった。その成果は肩肘や股関節の柔軟性に表れた。体重もじっくりと増やし、フォームの精度強化とフィジカル強化がうまく融合した。順調に球速が伸び、3年夏には最速147キロをマークするまでに至った。

「体幹が強くなってきたことで、その場で回転できるようになったので、体幹の強化は大きかったです」

トレーニングとフォーム固めを並行してレベルアップしたことに手応えを感じていた。

[page_break:「魔球」チェンジアップなど変化球の投げ方を解説!]

「魔球」チェンジアップなど変化球の投げ方を解説!

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帝京長岡・茨木 秀俊

 茨木が絶賛されているのは完成度の高いフォームだけではない。変化球の精度の高さも評価されている。スライダー、カーブ、縦スライダー、チェンジアップの精度が高く、特にチェンジアップの精度の高さは別格で、茨木と対戦した打者からもチェンジアップを絶賛する声が上がっていた。

 どう投げているのだろうか。特に切れ味鋭いスライダーとチェンジアップについて詳しく解説してもらった。

【スライダーについて】

「スライダーはストレートの握りからちょっとズラすイメージです」

「少し切る感じで投げています」

【チェンジアップについて】

「ストレートと同じ腕の振りで、投げるイメージです。空振りを狙うことを目的においていて、真っ直ぐと同じように離しています」

「変化球は低めに決めることを教えていただいたので、そのことを意識した結果が繋がったのかなと思います」

強烈なスピンがかかった直球を投げる点についてもこう語る。

「テークバックまでは力を抜いて、リリースで一気にたたきつけるイメージで投げていました。球は浅く握る方です。深く握ったりすることもありましたが、結果的にこの形が一番いいと思ったので、これになりました」

1つずつ武器を極めた茨木。ただ、3年夏の大会を迎えるまで高卒プロを志望するかどうか、迷いがあったという。

 3年夏の大会ではチームを決勝にまで導く好投を見せたが、その活躍に至るまでの強化練習がきっかけとなった。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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