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元プロ指揮官も素質を絶賛。甲子園でも本塁打を放ち、U-15代表にも選出された逸材・金本貫汰(関メディベースボール学院)はメキメキ成長中

2022.08.10

元プロ指揮官も素質を絶賛。甲子園でも本塁打を放ち、U-15代表にも選出された逸材・金本貫汰(関メディベースボール学院)はメキメキ成長中 | 高校野球ドットコム
金本 貫汰(関メディベースボール学院中等部)

 中学生硬式野球の関西ナンバーワンを決めるタイガースカップ。昨年11月から12月にかけて阪神甲子園球場で行われる同大会で、11年ぶりに本塁打を放ったのが、関メディベースボール学院中等部の金本 貫汰(3年)だ。さらに 「第5回 WBSC U-15 ワールドカップ」に出場する侍ジャパンU-15の代表メンバーに選ばれた。

 金本は右投左打の選手。甲子園球場は右翼側から左翼側に吹く浜風の影響で、左打者は不利と言われているにも関わらず、右翼席に本塁打を打ち込んだ。この事実だけでもスーパー中学生と呼ぶに相応しい選手だということがわかるだろう。

 かつて近鉄、オリックスでプレーしたことのある井戸伸年総監督も「全国でもトップレベルです」とその実力を認めている。スイングスピードは150キロを超えており、高校野球でも即戦力として活躍できそうな逸材だ。今後の活躍に期待が高まる金本にインタビューを行った。

 出身は甲子園からほど近い兵庫県尼崎市。野球をやっていた父の影響もあり、小学2年生の時に尾浜シャークスで野球を始める。小学生の間に記録した通算本塁打は49本と早くから打撃の才能を開花させていた。

 だが、順風満帆だったわけではない。6年生の時には阪神タイガースジュニアのトライアウトを受験したが、「バッティングには自信がありましたけど、バッティングに行く前に守備と走塁で落ちました」と自慢の打撃を見せる前に落選。縦縞のユニフォームに袖を通すことができず、悔しさを味わった。

 そんな経験にもめげずに努力を続けた金本。「これ以上成長できる場所はないと思いました」と中学では関メディベースボール学院中等部でプレーすることを決めた。その大きな理由はチームの雰囲気にあったという。
「まず先輩方のウォーミングアップの声に差を感じて、そこが魅力だと思いました」

 関メディベースボール学院中等部では練習前に1分間スピーチを行うなど、コミュニケーション能力の向上にも力を入れている。「全員の前で会話するというところで、人間的な部分が一番成長できたかなと思います」と技術以上に内面の成長を感じているようだ。


 もちろん、技術面でも大きく成長を遂げている。持ち味の打撃を伸ばすために「スイングスピードを上げること、スイングの量、一球に懸ける集中力を伸ばしてきました」と地道な努力を続けてきた。中でも意識していたのは気持ちの面だと話す。

「気持ちの部分から一球に対する思いというのはそれだけで変わってくると思うので、気持ちの部分からどんどん変えていくようにしました」

 関メディベースボール学院中等部は元プロの指導者も多く、技術面、精神面でハイレベルな指導を受けることができる。「一つ一つ丁寧に説明して下さるので、全部が勉強になっています」と金本もこの環境の恩恵をかなり感じているようだ。その中でも阪神などで活躍した伊藤敦教コーチに言われた話が印象に残っている。

「動くのは自分次第。僕はキャプテンをやらせて頂いているんですけど、注意をしていても結局は動くのは自分次第です。伊藤コーチにも『自分に厳しくやらないと、自分が伸びないと』言って頂いているので、自分を変えるのは自分しかないということが一番心に残っています」

 自分に厳しく取り組んだ結果が、昨年のタイガースカップでの本塁打に繋がった。「みんな喜んだりしていたんですけど、打った時は自分が一番ビックリしていたと思います。小学生の時からバッティングが大好きだったので、日々の素振りやバッティングセンターでの練習がここまでに繋がっているかなと思います」と振り返る。

 関メディベースボール学院中等部の練習は週3日。1週間のうち、残りの4日は自主練習となる。金本はそこでの時間の使い方を大事にしている。

「基礎的なトレーニングや素振りをしたり、バッティングセンターに通っています。週3日の練習だけでは絶対に伸びないと思うので、残りの4日をどう使うかを考えてやっています」

 既に全国区の活躍を見せているが、それに驕ることなく努力を続けている。中学の大会もまだ残っているが、高校での活躍も楽しみだ。「高校でも1年生の夏から活躍できるように体作りをしていきたいと思います。小さい子や他の選手から目標とされる選手になりたいです」と意気込んでおり、来年から高校野球界を席巻させてくれそうな予感がする。

 身長181センチ、体重85キロと立派な体格で、実績十分の金本。井戸総監督は、まだまだ伸びしろのある選手だと見ている。

「実際、体の使い方が上手いかといったら下手なんですよ。弱点もまだまだ多いですし、実はまだまだ成長段階で、完成されているわけでもないです。今の段階ではバッティングに関しては飛び抜けた出力が出ているのかなと思いますが、まだまだこれからの選手というイメージが強いですね」

 関メディベースボール学院の優れた指導ノウハウによって技術を高めている真っ最中。この夏、そして高校野球ではさらに進化した金本の打撃が見られそうだ。

(取材:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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