試合レポート

関東一vs日体大荏原

2022.04.18

柳瀬のランニングホームランなどスピード野球で関東一、日体大荏原に完勝

関東一vs日体大荏原 | 高校野球ドットコム
関東一1番 柳瀬冬和

<春季東京都高校野球大会:関東一8-2日体大荏原>◇17日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子

 通常、足を使った野球、スピード野球というと、盗塁が思い浮かぶ。ところが関東一の盗塁は初回の3個のみ。2回以降の盗塁はないが、終始、足を使った攻撃が印象に残る試合だった。

 日体大荏原の先発は、2回戦と4回戦に先発している石井 翔太。横手投げで、小金井 凌生との継投を前提にすると順当なところだ。一方、関東一は左横手投げの大場 慎之介を先発させた。「先発でいけるか、みたいというのはありました。貴重な戦力になってほしいですから」と米澤 貴光監督は言う。

 ちなみに大場は双子で、もう1人は錦城学園にいる大場 龍之介で、右翼手で4番か5番打者だという。

 試合は1回裏関東一は、俊足の1番打者・柳瀬 冬和が左翼線に二塁打を放つと、2番・須藤 彪のバントは内野安打になる。さらに3番・井坪 陽生が四球で満塁となる。ここで4番・増尾 己波はやや深い二飛。それでも内野フライであったが、三塁走者の柳瀬は迷わずタッチアップして関東一が1点を先制した。

 関東一はその後も盗塁でチャンスを広げたが、日体大荏原の石井が踏ん張った。

 すると2回表、日体大荏原は1死後5番・吉田 亜偉希が内野安打で出塁し、1死からでも確実に送り、7番・小林 滉人の中前安打で同点に追いついた。このあたりは、伝統校らしい、しっかりとした野球で関東一と互角の展開に持ち込む。

 その後は関東一の大場も、日体大荏原の石井も好投していたが、4回表、4番・増尾が本塁打を放ち、勝ち越す。さらに5番・秋葉 皓介の内野安打などで2死三塁となり、8番・衛藤 冴仁の打球はショートへ。難しい当たりで、記録は安打。捕れる打球ではあったが、アウトにできず関東一は1点を追加する。

「ショートゴロで流れが変わりました。3点、4点と入るビッグイニングを作らせないようにしないと」と日体大荏原の本橋 慶彦監督は言う。この回関東一は大場への代打・高橋澄、1番・柳瀬の二塁打でこの回4点を入れる。柳瀬の二塁打は快足が光る二塁打だった。

 5回以降は、関東一は成井颯、日体大荏原は小金井が登板した。

 その5回表、日体大荏原は7番・小林 滉の左前安打、9番・下田 悠太の二里打で1点を返す。

 一方、大型の横手投げ投手として今大会好投していた日体大荏原の小金井であるが、6回裏1死二塁から9番に入った成井に二塁打を打たれ1点を失う。

 さらに関東一は、1番・柳瀬がレフトに切れていく痛烈な打球。日体大荏原の左翼手が突っ込んだが捕球できず、打球が外野に転がっている間に、柳瀬は迷わず本塁に還り、ランニング本塁打になった。柳瀬は50メートル5.9秒の俊足。

「打球は見えていましたし、コーチャーが回すのを信じて走りました。ホームランは初めてです」と柳瀬は言う。関東一には大久保 翔太(現新潟医療福祉大)という俊足の選手がいたが、「足は大久保の方が速いです。でも柳瀬の方が器用です」と米澤監督は言う。

 柳瀬は大久保に憧れて関東一に入ったそうだ。

 7回以降は両校ともしっかり抑えて8対2、関東一が勝ち準決勝進出を決めた。それでも、日体大荏原はコールド負けを免れたことも収穫であった。

 捕手の原田 悠希は、「ベスト8まで行けたことは自信になりました。もっと上に行けるように、質の高い練習をしたいです」と語った。日体大荏原は、近年は結果を残していないが、第1回の東京大会準優勝の古豪だ。古豪復活は「まだまだです」と本橋監督は言うが、きっかけをつかんだ大会であった。

 勝った関東一は準決勝で帝京と対戦する。東東京の黄金カードであるが、今回は、帝京は前田 三夫監督から金田 優哉監督に代わり、新時代の強豪対決になるだけに、楽しみな一戦だ。

(取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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