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専大松戸を破った公立校・四街道、強打・我孫子東にいた逸材たち

2022.02.21

 春季千葉県大会への出場を目指す予選の組み合わせが21日に発表された。全国有数の激戦区・千葉県の戦いが、いよいよ幕を開けることになるが、千葉県内の公立校でも注目の2校をピックアップした。

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吉田航大、鶴岡汰一、足立大希

 昨年秋季県大会で専大松戸に勝利したことで大きな話題となった四街道。高橋正人監督を中心に、習志野での指導経歴を持つ望月正彦部長。この2人に加えて、4月より大野直樹、古谷健の両コーチが赴任してきた。

 厚みができた指導体制のもとで新チームを整備してきたが、期待がかかるのは鶴岡 汰一投手(2年)。
 縦回転のフォームを覚えるため、下半身の使い方を見直している最中だが、現時点で最速135キロを計測する速球派右腕。加えて回転数も2200回転をマークしており、球そのものの質も高い。楽天・則本 昂大投手(八幡商出身)を彷彿とさせる。

 指導者の中でも鶴岡の投球はもちろんだが、時折見せるセンスの高さなど、ピッチングだけではない魅力も持つ。秋季大会ではリリーフ投手として活躍したが、春季大会以降も注目される。

 その鶴岡と肩を並べる吉田 航大投手(2年)は、角度を付けたフォームが印象的。これは古谷コーチから「元々ヒップファーストの身体の使い方をしていた」という強みを残しながら、球へ還元できるように指導した末にたどり着いた。

 オリックス・山本 由伸投手(都城高出身)に似たようなオーバースローで、トレーニングもジャベリックスローを取り入れている。回転数など、球速ではない部分で勝負することで、鶴岡とはタイプの違う強みを持っている。

 また、強烈なインステップから、右腕を振りぬくサイドハンド・岩澤 知哉投手(1年)もいる。制球力が課題となるが、角度のついた投球ができるだけに、コントロールが安定すれば、四街道の大事な戦力となる。投手層の厚みができるかのポイントになる。

 野手陣も力のある選手が揃う。
 特に指導者間でも期待されるのが、ショートを務める足立 大希内野手(2年)。半身で構えた状態から打球まで素早く動き、柔らかいグラブさばきからのスローイングを見せる。守備力の高さが元々高かったが、四街道に来て打力が向上。上から鋭く振り下ろすシャープなスイングが光る。

 その足立と二遊間を組む高木 昭太朗内野手(2年)も、無駄の少ないコンパクトなスイングで、最短距離でミートさせる。秋季大会は途中出場だったが、チームをまとめる主将としてプレー以外でも大事なキーマンとして注目される。

 このほかには、179センチ、83キロと大柄ながら反応の良さで三塁守備を務め、打ってはヘッドを投手方向へ大きく傾けて大きなスイングをする齋藤 煌我内野手(2年)。さらに外野では、50メートル6.3秒で走る俊足と強肩をもつ亀崎 圭市外野手(1年)。そして、テークバックをあまりとらないコンパクトな構えで鋭くスイングし、専大松戸戦では勝ち越しの犠飛を放った三山 駿外野手(2年)などが揃う。


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平野雄也、梅澤我道

 四街道に負けず劣らず実力者が揃っているのが我孫子東だ。エース・平野 雄也投手(2年)は、最速135キロを計測する本格派投手。右サイドハンドから、切れのあるボールを投げ込むのが特徴で、精密機器ラプソードでは2200回転を計測している。サイドスローであることを考えれば、もう一回り成長すると、より注目が集まるのではないだろうか。

 平野と同学年で、主将の梅沢 我道内野手(2年)は、シンプルな構え方からミートポイントまで最短距離でバットを振りぬく。鋭い腰の回転で快音を響かせるアベレージヒッターとして、活躍が楽しみである。

 そして打力強化に着手する我孫子東で成長著しいのが、鈴木 太誠内野手と五十嵐 龍二内野手の1年生コンビ。
 ヘッドを立ててボールを待って鋭く振りぬく鈴木は、中学時代は1番打者として出塁重視で、上からしっかりバットを出すことを意識していたが、当てるだけのポップフライが多かった。しかし、我孫子東で球に対して、5~10度でミートさせることを意識し始めたことで、スイングが改善され、高校通算4本塁打をマークするなど、高校野球で成長した。

 同じ1年生の五十嵐も今では恵まれた体格でスイングスピード130キロ近くを計測するが、入学当初は100キロほどで、アッパースイングにもなっていたが、スイング軌道が改善されたことで、徐々にバッティングが変わり、ホームランも打てるようになったと話す。

 今回紹介した2校に限らず、千葉県内の公立校には数多くの逸材がいる。予選、そして県大会で活躍し、ブレークすることを楽しみにしたい。

(文=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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